ケニアとナイジェリアの企業のAI利用率が約40%に上昇、世界銀行報告
(ケニア、ナイジェリア、アフリカ)
調査部中東アフリカ課
2026年08月14日
世界銀行は8月4日、「世界開発報告(WDR)2026
」を公表し、人工知能(AI)が途上国に及ぼす影響について分析した。報告書によると、ケニアとナイジェリアの従業員5人以上の企業におけるAI利用率は、2022年の5%未満から2025年には約40%へ上昇した。これは米国と同等の水準で、業務への活用度など具体的な使い方は単純に比較できないものの、生成AIはインターネットなど過去の汎用(はんよう)技術よりも速いペースで途上国に普及していると指摘した。
公共サービスでの活用例もみられる。ケニアでは、司法当局がAIを活用し、年間1万件以上の訴訟を1,500人超の調停人に割り当て、担当者の選定に要する時間の短縮や手続きの透明性向上につなげているという。一方で、課題もある。ナイジェリアでは、高所得国の医療データを中心に学習したAIが、現地の状況に照らして過剰な臨床検査を推奨した例もある。報告書は、海外で開発されたAIを単に導入するだけでなく、現地の制度やデータ、言語に適応させる必要があると指摘した。特に言語面では、AIの学習データが一部の主要言語に偏っているため、アフリカ言語への対応が不十分となる可能性がある。
電力や通信環境の不足もAI活用の制約となる。世界銀行によると、サブサハラ・アフリカの電力アクセス率は2024年時点で55.1%にとどまる。さらに報告書は、同地域の農村部の学校のうち、32%が安定的に電力を利用できず、68%が継続的なインターネット接続を利用できないと指摘した。こうした環境では、基本的な携帯電話や、電力・インターネット接続が限られた環境でも利用できる「スモールAI」の活用が重要になるという。
なお、IMFによれば、AIの導入が進んだ場合、今後10年間でサブサハラ・アフリカの生産性が0.2~2.1ポイント向上し、年間GDP成長率を最大約0.5ポイント、累積で約4ポイント押し上げる可能性がある(2026年7月27日記事参照)。
(天神和泉)
(ケニア、ナイジェリア、アフリカ)
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