コデルコの大型案件停止、チリ鉱業で操業リスクへの対応相次ぐ、豪雨による操業への影響も

(チリ)

サンティアゴ発

2026年08月07日

チリの鉱業セクターで7月後半以降、操業リスクへの対応が相次いでいる。チリ国営銅公社コデルコ(CODELCO)は8月4日、世界最大の地下銅鉱山エル・テニエンテで進める大型拡張案件「アンデス・ノルテ」の開発・建設活動を安全上の理由から一時停止すると発表した。

コデルコによると、アンデス・ノルテ計画の停止は、地下深部の地震活動に関する新たな懸念が示されたことを受けた予防措置だ。エル・テニエンテ鉱山では従来から地下採掘に伴う地震活動が確認されていたが、今回の新たな懸念を踏まえ、追加調査や監視体制の強化、必要な管理措置の特定・実施が完了するまで開発工事を停止する。

アンデス・ノルテは、エル・テニエンテ鉱山の寿命延長を担う大型プロジェクトで、投資額は約19億ドルに上る。本格稼働時には年間約10万5,000トンの銅生産が見込まれ、これは2025年のコデルコの銅生産量の約7%に相当する。埋蔵量の枯渇が進む既存鉱区に代わり、より地下深部の鉱体を開発する計画であり、同社の将来的な生産維持に向けた重要案件の1つだ。今回の停止によって直ちに既存生産への影響は生じないものの、将来的な生産能力の維持・拡大やプロジェクトの進捗に影響が及ぶ可能性がある。約3,000人の労働者や、プロジェクトに参画する請負企業にも影響が及ぶ見通しだ。

一方、7月中旬から下旬にかけて、チリ中部・北部を豪雨と豪雪が襲い、鉱山インフラや輸送網に大きな影響を及ぼした。鉱業労働者団体CTMINによると、この一連の気象被害により1,000人超の鉱山労働者が孤立したほか、複数の主要鉱山が操業を停止し、損失額は最大で2億3,500万ドルに上るとの試算を示した。さらに、アタカマ州やコキンボ州を中心とする小規模鉱山では、道路損壊や通信障害により600人以上の生産者が操業停止を余儀なくされた。8月5日時点で、両州で383カ所の鉱山が何らかの被害を受け、約9万トンの鉱物の生産に影響が及ぶとの見通しが示されている。

コデルコの案件停止と一連の気象被害は、それぞれ地下深部の開発に伴う安全管理と、鉱山操業を支える道路・送電網などインフラの重要性を示す事例となった。

(高橋英行)

(チリ)

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