技術的自立確保のためAI技術発展支援に関する基本法を制定

(ロシア)

調査部欧州課

2026年08月06日

ロシアで7月26日、人工知能(AI)技術発展の支援に関する基本法が成立した(連邦法第243-FZ号「ロシア連邦における人工知能技術の発展支援について」)。ロシアでの大規模基盤AIモデル開発に当たっての法規制や支援の原則、モデル開発の要件などを規定する初めての法律となる。法的規制の導入や支援を通じて、経済・社会・行政の各分野で大規模基盤AIモデルの開発、導入、活用を促進させるための環境を整備するとともに、国家としての技術的自立、ロシアの伝統的価値観、安全保障を確保する。

連邦法では、大規模基盤AIモデルを主権型と国家型に区分し、それぞれの概念を規定した。主権型モデルは、いわゆる「ソブリンAI」に相当する。開発者はロシア資本が50%超のロシア法人とされ、AIの設計、改良、更新などライフサイクル全段階での決定や変更も当該ロシア法人が行う。開発者には開発サイクルの完全な技術的再現性の確保、ロシア国内でのデータの保管が求められる。さらに、ロシア政府の定める手続きに従い、AIモデルが法令およびロシアの伝統的価値観に適合されたものか検証を受けることも要件に盛り込まれた。

国家型モデルについても、開発者はロシア資本が過半のロシア法人とされ、データの国内保管やロシアの伝統的価値観への適合が求められる。一方で、AIモデルの開発に当たっては、外国製を含むオープンライセンスで公開されたモデルやコンポーネントを利用できる。主権型AIモデルの開発要件に、このような利用可否に関する規定は示されていない。

本法律は別途定めのある条項を除き、9月1日に施行される。

ロシアでは2019年10月に、「2030年までの人工知能発展の国家戦略」が策定された。同戦略では、AIを次世代の基盤技術と位置づけるとともに、同分野におけるロシアの「技術主権」の確保を目標に掲げた。また、AIの研究開発、ソフトウエアおよびハードウエアの開発や整備、人材育成を推進する方針を示した。経済界でも2019年にAIアライアンスが設立され、ネット大手のヤンデクス、VK、ズベルバンク、ガスプロムネフチ、ロシア直接投資基金、カスペルスキーなどの有力企業が参加している。同アライアンスは、産業でのAI技術の実用化を推進している。

(浅元薫哉)

(ロシア)

ビジネス短信 3413697d3f7085cc