カンボジア政府、スタートアップ国家戦略を発表
(カンボジア)
プノンペン発
2026年08月31日
カンボジア政府は8月11日、「スタートアップ開発国家戦略2026-2030」を発表した。同日に開催された式典には、政府、企業、投資家、大学、スタートアップなどから約600人が参加した。同戦略は、スタートアップを経済成長の新たな原動力として位置付け、2030年までの5年間で国内のエコシステムの基礎を築くことを目指す。
同戦略では、スタートアップについて、イノベーションやテクノロジーを事業モデルの中核に据え、既存市場における競争力の向上や新市場の創出を通じて、高い成長を目指す企業と定義している。IT導入に強みを持つ企業ではなく、新たな手法によって商品・サービスの付加価値を高める企業も含まれる。
2026年5月時点で、国内スタートアップは256社で、2021年から約100社増加した。ソフトウエア・アズ・ア・サービス(SaaS)、Eコマース、フィンテック、人工知能(AI)、教育テクノロジー(EdTech)など多様な分野に展開している。一方で、94%が創業初期・事業立ち上げ段階にある。投資額は累計で約900万ドルにとどまる。
スタートアップを取り巻く環境には、多くの課題も残る。EdTech分野のスタートアップ、テックフォーキッズアカデミー(Tech for Kids Academy)の創業者、ヒアン・オムーイ氏は、カンボジアの起業家が、規制上の障壁、資金・投資の不足、人材不足、支援体制の未整備、ネットワークの弱さ、市場アクセスの制限などに直面していると指摘した。また、女性起業家は、実績を示す機会を得る前に、信頼や支援を得ることが難しいという。同氏は、カンボジアはスタートアップの数を増やすだけでなく、創業初期の企業を、事業を拡大でき、投資対象となり得る国際競争力を持つ企業へと育てる仕組みを構築することが重要だと強調した(ヒアリング8月25日)。
2030年までに300社を支援、投資額3,000万ドルを目指す
こうした課題に対して、今回発表された戦略では、「スタートアップ企業(Startup Company)」の制度上の位置付けを明確にし、簡素な手続きで事業開始ができる環境を整えることで、起業時の負担軽減を図る。国家戦略は、スタートアップに配慮した規制環境、資金調達へのアクセス改善、イノベーション人材の育成、スタートアップ支援エコシステムの強化、市場への接続・海外展開の促進の5つを重点分野に掲げる。政府は、2030年までに300社のスタートアップを支援し、うち100社への総額3,000万ドル(現在の推定投資額約から約2,100万ドルの増加)の投資が実現することを目指している。
(タイ・トー)
(カンボジア)
ビジネス短信 2c68855c0d8876d2





閉じる