ENEOS、米化学品メーカーTPCを買収、素材事業を強化

(米国、日本)

ヒューストン発

2026年08月14日

ENEOSホールディングス(ENEOS HD)は8月7日、100%子会社の米国法人を通じて、米化学品メーカーのTPCホールディングス(本社:テキサス州ダラス)を買収すると発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。買収後、TPCはENEOS HDの機能材セグメントに属する連結子会社となる予定だ。関係当局の承認などを経て、合併完了は2026年10月中を見込む。買収価格は非公開だが、約12億7,000万ドルと報じられている(「ヒューストン・ビジネス・ジャーナル」8月7日)。

TPCグループは、自社を「北米最大級の独立系C4炭化水素(注1)処理企業」と位置付けており、合成ゴム、燃料、潤滑油添加剤、プラスチック、界面活性剤向けの化学製品を供給している。米国のメキシコ沿岸に主要拠点を有し、石油化学サプライチェーンで重要な役割を担っている。TPCの発表によると、ENEOS HDによる買収対象には、テキサス州ヒューストンの石油化学事業拠点に加え、同州ポートネチェスおよびルイジアナ州レイクチャールズのターミナル事業が含まれる。

化学業界では、ホルムズ海峡閉鎖や中東紛争の影響で、中東やアジアの化学品供給が落ち込み、ドイツのBASFや、米国のダウ、ライオンデルバセル・インダストリーズなど欧米メーカーが代替供給を担ったことで、一時的に業績が改善している。しかし、米信用格付け大手のフィッチ・レーティングス(注2)は8月4日、世界の化学業界が依然として供給過剰状態にある一方、需要は弱いとして業界見通しを「悪化」のまま据え置いた。こうした環境下でENEOSグループは、需要の伸びが鈍い日本市場への依存を減らし、シェールガス由来の競争力ある原料を持つ北米市場に需要の拡大を見込む。

ENEOSグループはTPC買収により、タイヤや自動車向け材料の基幹原料であるブタジエン生産能力で世界3位に浮上する見通しだ。ENEOSグループはすでに溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(S-SBR、注3)など高機能ゴム事業を展開していることから、今回の買収により、原料となるC4化学品から高機能エラストマーまでの一貫した事業基盤を強化し、北米での基盤・素材事業の拡大と、同社の中期経営計画である「ポートフォリオの再編」を進める方針だ。

(注1)ブタジエン、ブテン類、ブタン類などの炭素数4(C4)の炭化水素。

(注2)米国のニューヨークと英国のロンドンに本社を置く、民間の格付け機関。

(注3)S-SBRは、自動車タイヤ向けに使われる高性能な合成ゴムで、ブタジエンとスチレンを原料として作られる、高機能エラストマー(ゴム材料)。特に燃費性能やグリップ性能が求められる高機能タイヤに採用される。

(キリアン知佳)

(米国、日本)

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