ポーランド、国外で成立した同性婚の婚姻証明書の国内身分登録簿への転記が可能に

(ポーランド)

ワルシャワ発

2026年08月31日

ポーランドで8月23日、国外で成立した同性婚の婚姻証明書を国内の身分登録簿に転記できる新制度が施行された。これにより、全国の身分登記局で同性カップルについてもポーランドの婚姻証明書を取得できるようになった。一方、ポーランド国内で同性婚・パートナーシップを締結することは引き続きできず(注)、転記によって税制や社会保障などの婚姻に付随する権利が一律に認められるわけではない。

制度変更の背景には、EU司法裁判所(CJEU)が2025年11月、他のEU加盟国で合法的に成立した同性婚を、EU市民の出身加盟国も承認する義務があるとの判断を示したことがある。同裁判所は一方で、加盟国に国内法上の同性婚制度の導入を求めるものではないとしている。

現地メディアRadio ZETによると、施行直後の2営業日で、北部グダニスクの身分登記局には計10組の同性カップルが婚姻証明書の転記を申請するため訪れた。これまでにデンマーク、ドイツ、英国、オーストリアで成立した婚姻についてポーランドの婚姻証明書が作成された。

ただし、外国で発行された婚姻証明書のポーランドの身分登録簿への転記は、婚姻に伴う権利の付与を直ちに意味するものではない。税務・関税インフォメーション局(KIS)は6月、英国で結婚したポーランド人男性カップルが個人所得税(PIT)の配偶者共同申告を照会した際、「外国の婚姻証明書は公文書であり、転記の有無を問わず同申告が可能だ」とする彼らの主張は誤りであると見解を述べた。また、外国の婚姻証明書の転記は婚姻に伴う権利を自動的に付与するものではないとした。今回の制度変更で、国外で成立した同性婚をポーランドの公的記録に転記することは可能になったが、税務や社会保障などにおいて異性間の婚姻と同等の扱いとなるかは、引き続き個別制度の確認が必要となる。

(注)従来の婚姻制度とは別に、2026年5月に同性・異性カップルを対象とした登録パートナーシップ制度の創設法案(正式名称「親密な関係にある者の法的地位および共同生活契約に関する法律」)が議会を通過したが、同年7月にカロル・ナブロツキ大統領が拒否権を行使した。拒否権を覆すには下院で5分の3以上の賛成が必要だが、現連立政権は必要議席数を確保していないため、法制化には至っていない。

(金杉知紀)

(ポーランド)

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