CKハチソンが港湾の運営権を巡りパナマに対し国際仲裁手続きを開始
(パナマ、香港)
調査部米州課
2026年08月27日
香港の多国籍コングロマリットの長江和記実業(CKハチソン)は8月20日、パナマに対して国際仲裁の手続きを開始したことをプレスリリース
で発表した。CKハチソンは申し立ての理由を「数十年間存続してきた港湾コンセッション(運営権)を標的として、パナマが同社の投資を実質的に破壊する行為を行ったこと」としている。
CKハチソンはプレスリリースの中で、2025年初頭からパナマがCKハチソンの投資に対する「攻撃キャンペーン」を行ったとし、その一例として「適正手続きを欠いて突然開始された新たな調査」を挙げた。直接的な言及はないものの、2025年1月に開始された同社傘下のパナマ・ポート・カンパニー(PPC)に対する財務・コンプライアンス監査を指しているとみられる。CKハチソンは、パナマが「PPCを別の運営事業者に置き換える計画を策定していた」と主張している。
その後、2026年1月29日にパナマ最高裁判所が、PPCによるバルボア港・クリストバル港(注1)の運営などに関するコンセッション契約とその延長を違憲と判断し、2月23日に正式に判決文が公布された。現在は、バルボア港についてはデンマークの海運大手A.P.モラー・マースク傘下のAPMターミナルズに、クリストバル港はスイスの海運大手MSCグループ傘下のターミナル・インベストメント(TiL)に暫定的な運営権が付与されている。
CKハチソンによると、2月4日に協定上の紛争(注2)の発生を通知したものの、パナマ政府は和解に向けた動きをみせなかったとしている。CKハチソンは、損害額は15億ドルに上るとして、「パナマは法の支配、法人格の区別、契約に拘束される当事者の範囲、仲裁合意の適用範囲、条約上の権利および条約紛争の解決手続を尊重しない、投資リスクの高い国となったことを示した」と批判した。8月26日時点では、パナマ政府による本件に関する公式発表はみられない。
(注1)両港はパナマ運河の両端にある主要な港湾であり、バルボア港は太平洋側、クリストバル港は大西洋側に位置している。
(注2)CKハチソンのプレスリリースでは、具体的な協定名や国際仲裁の付託先は明らかになっていない。
(加藤遥平)
(パナマ、香港)
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