韓国とチリ、FTA近代化に向けた協議再開で合意、重要鉱物など5件のMOU締結

(チリ、韓国)

サンティアゴ発

2026年08月05日

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は7月29日からチリを公式訪問し、30日にホセ・アントニオ・カスト大統領と首脳会談を行った。韓国大統領のチリ訪問は11年ぶり。

韓国大統領室によると、両首脳は2004年の自由貿易協定(FTA)発効以降、両国間の貿易額が約4倍に拡大したことを評価した上で、今後は従来の物品貿易に加え、投資、先端産業、サプライチェーンなどに協力範囲を広げる必要があるとの認識を共有した。このため、両首脳は2015年以来開催されていなかったFTA自由貿易委員会の再開で合意した。同委員会では通商・投資分野の懸案事項について包括的に協議するとともに、新たな通商環境を反映したFTAの近代化について検討する方針を確認した。両国はFTA近代化に当たって、デジタル貿易、人工知能(AI)、クリーン技術、サプライチェーン強靭(きょうじん)化などの新たな分野を協定に反映させる方向で協議を進めるとしている。

会談後、両国の関係機関が5件の覚書(MOU)を締結した。このうち経済面で注目されるのが、韓国鉱害鉱業公団(KOMIR)とチリ国営鉱業公社(ENAMI)による「鉱物資源パートナーシップMOU」だ。韓国大統領室によると、同MOUでは既存の資源協力の枠組みを銅やリチウムを含む重要鉱物全般へ拡大する。また、鉱物資源分野の政府間協議を閣僚級に格上げし、情報共有や技術協力、人材交流を強化する。チリは世界最大の銅生産国であり、世界有数のリチウム生産国でもある。一方、韓国は電池、半導体、自動車などの先端製造業を有しており、両国は重要鉱物サプライチェーンの強化に向けて協力を拡大する方針を確認した。

このほか、韓国警察庁とチリ刑事警察庁(PDI)による治安協力MOU、韓国海洋警察庁とチリ海事総局(Directemar)による海上安全協力MOU、韓国極地研究所(KOPRI)とチリ南極研究所(INACH)による極地研究協力MOUの改定、韓国貿易投資振興公社(KOTRA)とInvestChileによる投資促進MOUが署名された。

韓国とチリは1962年に外交関係を樹立し、2022年には関係を戦略的パートナーシップへ格上げした。韓国・チリFTAは韓国初のFTAであり、アジアと中南米の国との間で締結された最初のFTAでもある。チリ外務省によると、2025年の両国間貿易額は69億9,100万ドルに達した。また、韓国は2025年にチリにとって世界第6位の貿易相手国、アジアでは中国、日本に次いで第3位の貿易相手国となった。

(高橋英行)

(チリ、韓国)

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