イラク石油省、バスラ製油所近代化事業の作業再開で日揮との合意を発表

(イラク)

ドバイ発

2026年08月28日

イラク石油省は8月14日、同国南部のバスラ製油所における近代化事業について、日揮グローバルと作業再開で合意したと発表した。石油省は、設備が本格稼働すれば、日量でガソリンを500万リットル、軽油を約700万リットル、液化石油ガス(LPG)を400トン生産する能力が加わるとしている。

同事業は、石油省傘下の南部精製公社(SRC)が運営する既存のバスラ製油所に隣接するかたちで、ガソリンや軽油などの石油製品の生産量と品質を高める各種設備を新設するものだ。設備には、原油を精製した後に残る油からガソリンなどを作る流動接触分解装置などが含まれる。

この取り組みは、2012年に国際協力機構(JICA)による円借款事業として始まり、総額約5,700億円で、中東地域向け円借款としては最大規模となっている。日揮は2020年、設計・調達・建設・試運転を約4,000億円で受注した。流動接触分解装置は1日に約3万5,000バレルを処理でき、国内で需要の高いガソリンや軽油などの増産を可能にする。イラクは世界有数の産油国にもかかわらず、戦災や既存設備の老朽化により、石油製品を輸入している。今回の事業により、輸入を減らすことも可能になる。

日揮はまた、2025年2月に、完成後の設備を安定して動かせるよう、イラク側に運転方法を引き継ぐ業務もSRCから約300億円で追加受注した。日揮の要員がSRCの要員と共同で設備の稼働と安定運転を支援するもので、受注時点で2026年12月の完了が予定された。

2025年10月には、ムハンマド・シヤーウ・スーダーニー首相(当時)らが出席して完成式典が行われた。流動接触分解装置は同月に試運転を始め、一時はガソリンを1日約150万リットル生産した。しかし、その後の地域情勢の悪化を受けて日揮が現地要員を退避させ、作業は中断した。SRCは2026年7月末、設備そのものは完成し、損傷や運転上の問題もないものの、本格稼働には日揮が現地に戻り、最終作業を行う必要があると説明していた。今回、日揮の要員が現地に戻ったことで、その最終作業が再開した。

作業再開により、日本の大型円借款を活用した同事業は、本格稼働とイラク側への運転技術の引き継ぎに向けて再び動き出した。

(大野晃三)

(イラク)

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