英国とスイス、自由貿易協定(FTA)交渉で妥結

(英国、スイス)

ロンドン発

2026年07月30日

英国政府は7月13日、スイスとの自由貿易協定(FTA)に関する交渉が妥結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この協定は、1972年に締結されたEU・スイス協定に基づく既存の物品に焦点を当てた英国・スイス間の協定を、さらにサービス分野などでの取引拡大のために発展させたものだ。

国家統計局(ONS)によると、英国の経済活動の81%、雇用の83%をサービス業が占めている。本協定により、英国からスイスへのサービス輸出が年間52億ポンド(約1兆1,388億円、1ポンド=約219円)増加すると見込まれている。主な合意内容は次のとおり。

  • データの自由な流通に対する制限を将来導入しないことも保証する。電子契約、電子署名、電子請求書に関する最新の規定を導入し、電子送信に対する関税を課さない。
  • 英国(注1)のサービス業従事者は、年間最大90日間、ビザを取得することなく、スイスで専門サービスを提供することが可能になる。また、英国企業は最大5年間、従業員を英国拠点からスイス拠点へ派遣すること、および特定のサービス分野でスイス人材を最大3カ月間、英国で勤務させることが可能になる。
  • 両国は相手国で、追加のローミング料金を支払うことなく、携帯電話を利用できるようにする。また、卸売料金の上限設定など、ローミングに関連するさらなる規定を盛り込むとともに、通信事業者に対する保護措置も盛り込む。

そのほか、輸出手続きの負担軽減、許認可・資格認定プロセスの簡素化、およびデジタル決済の導入などを通じて、英国企業のスイス市場への参入をより容易にする。また、英国企業のスイス子会社に対して、スイス国民の雇用や上級管理職・取締役の国籍要件を、将来的に課さないことを約束した。さらに、両国の産官学の代表が一堂に会する「イノベーション作業部会」が設置され、ビジネスチャンスの特定、新たな課題への対応、2国間貿易関係の将来像構築に取り組む。

加えて、英国は、現行の10年間の規制データ保護(RDP、注2)期間および最大5年間の補充的保護証明書(SPC、注3)の保護期間を維持する。これにより、医薬品などライフサイエンス産業のイノベーションを支援する。また、強力な著作権保護も規定しており、英国のクリエーターなどクリエーティブ産業をスイスで保護する。

(注1)英国の海外領土ジブラルタルも含む。

(注2)企業の臨床試験データを一定期間保護し、他社によるジェネリック医薬品の市場参入を制限することで、新薬開発企業による研究開発投資の回収を支援する制度。8年間のデータ独占権と10年間の市場独占権で構成されている。

(注3)英国で医薬品を販売するために必要な規制当局の承認取得に時間を要することで実質的に短縮される特許保護期間を補う制度。

(バリオ純枝)

(英国、スイス)

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