米半導体工業会、米国半導体産業の競争力維持へ政策支援強化を提言

(米国、世界)

調査部国際経済課

2026年07月29日

米国半導体工業会(SIA)は7月27日、米国半導体産業の現状や課題をまとめた年次報告書「State of the U.S. Semiconductor Industry」の2026年版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。報告書によると、米国企業が2025年の世界半導体売上高の53.4%を占め、市場シェアは1984年以来最高となった。SIAは、米国企業が研究開発、半導体設計、先端製造などの幅広い分野で優位性を有していると指摘する。

研究開発についてみると、米国半導体企業の2025年の研究開発支出は768億ドルと前年比10.3%増加した。他方、支出額の水準としては、中国の官民を合わせた研究開発支出を下回っているとして、SIAは米国政府による研究開発支援や税制措置の重要性を指摘している。

また近年では、米国に対する国内外からの投資も相次いでいる。報告書によると、2020年から2025年にかけて、国内30州にわたり160件以上の半導体関連投資計画が発表され、投資総額は7,700億ドルを超えた。投資対象はウエハー製造工場(ファブ)だけでなく、後工程、製造装置、材料、研究開発などサプライチェーン全体に及ぶ。

他方、半導体産業が国際的な分業体制に依存していることを踏まえ、SIAはサプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性に警鐘を鳴らした。具体的には、中国によるガリウム、ゲルマニウム、リン化インジウム、レアアース関連製品の輸出規制や、ホルムズ海峡周辺情勢によるナフサやヘリウムの供給制約が、半導体製造に影響を及ぼしていると指摘した。また、中国における成熟プロセス半導体の過剰生産が市場価格を押し下げ、市場をねじ曲げているとの認識を示した。

こうした状況を踏まえ、SIAは政策優先課題として次の7分野を挙げた。

  1. 半導体製造支援策や研究開発投資を継続し、米国内の生産・技術基盤を強化する。
  2. 半導体の研究開発・設計・製造を促進する競争力ある税制を維持する。
  3. 半導体および基礎科学分野への公的研究開発投資を拡充する。
  4. 人材育成や高度人材受け入れを通じて半導体人材の確保を進める。
  5. 同盟国との連携を通じ、米国製半導体に対する需要拡大とサプライチェーン強靱(きょうじん)化を図る。
  6. 輸出管理や技術規制は同盟国と協調しつつ慎重に運用する。
  7. 環境・エネルギー関連規制の手続きを合理化し、産業競争力を高める。

総じて報告書は、米国半導体産業の優位性を維持するためには、国内投資や研究開発、人材確保に加え、同盟国との協力による市場アクセスの確保とサプライチェーン強靱化を一体的に進める必要があるとの見方を示している。

(宮島菫)

(米国、世界)

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