自動車部品のフジオーゼックスが生産ライン新設、USMCA見直しが不透明な中、日系企業の拡張投資続く
(メキシコ、日本)
調査部米州課
2026年07月29日
米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)見直しを巡る不透明感が続く中でも、北米市場向けの供給体制強化を目的に、メキシコで現地生産能力を増強する日系企業の動きがみられる。自動車用エンジンバルブなどを手掛けるフジオーゼックス(本社:静岡県菊川市)は7月27日、グアナファト州の連結子会社フジオーゼックス・メキシコで建屋を増築し、生産ラインを新設すると発表した。約1,017万ドルを投じ、2026年8月に着工、2027年10月の稼働開始を予定する。投資目的として、北米を中心とした需要動向に加え、USMCAなど米国規制を含む経済安全保障・通商政策への対応を挙げ、北米向け製品のサプライチェーン強靭(きょうじん)化と現地生産化を進めるとしている(同社プレスリリース2026年7月27日付
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横浜ゴムも5月15日、北東部コアウイラ州サルティーヨで、建設中の乗用車用タイヤ新工場の第2期拡張として、鉱山・建設用車両向けタイヤおよび農業機械向けタイヤを生産するオフハイウエータイヤ工場を建設すると発表した。投資額は1億1,500万ドルで、2026年第3四半期に着工、2028年第2四半期の生産開始を予定する。年間生産能力はゴム量で1万650トン。米グッドイヤーの事業買収に伴う生産移管も進め、北米での供給能力を高める(同社プレスリリース2026年5月15日付
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電気機器製造のタムラ製作所も、メキシコを含むグローバル生産体制の強化を進める。同社は7月21日、イタリアのEMGパワー・エレクトリックを連結子会社化すると発表した。生成人口知能の普及に伴うデータセンター増加や電力需要拡大を背景に、中電圧(MV)トランス・リアクタ事業を強化する。あわせて、旺盛な需要を取り込むため、メキシコ工場の生産能力を2027年度までに2023年度比で約4倍に拡大する方針を示した。約7億ドルを投じ、MV領域の大型トランス・リアクタの生産ラインを新設する(同社2026年7月21日付プレスリリース
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中国企業の投資は継続、欧州企業の投資も再活性化
米国通商政策やUSMCA見直しの行方には不確実性が残るため、新規投資には慎重姿勢がみられる一方、既存拠点の増設、生産移管、原産地規則への対応を通じた現地生産能力の増強は継続している。この動きは、日系企業に限った話ではない。北東部やバヒオ地域で工業団地を開発するアミスタ工業開発のホセ・ルイス・ベニテス営業部長は7月9日、ジェトロのインタビューに対し、「北東部を中心に中国企業のメキシコ進出の勢いは陰っておらず、USMCA見直しを特に気にかけている様子はない」と語った。また、バヒオ地域の自動車業界団体の関係者によると、欧州系企業の中にも既に投資を決断した企業が複数存在するという。その背景として、見直し継続中はUSMCAが存続し、既存ルールの変更もないこと、2036年まで毎年見直しが行われるため、トランプ政権後の米国新政権との延長合意は十分可能と考えられること(注)を挙げた。
(注)USMCA第34.7条は、発効6年後の共同見直しで延長が合意されなかった場合、以降は協定存続期限(2036年)まで毎年協議が実施され、合意が形成された時点でそこから16年間協定の存続期限が延長されることを規定している。トランプ政権下で延長合意が形成されなくても、2029年以降の米国の新政権が延長に合意する可能性はある。
(中畑貴雄)
(メキシコ、日本)
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