WIIWが夏季経済予測を発表、中・東欧と西バルカンは成長を維持
(中・東欧、西バルカン、セルビア、コソボ、アルバニア、ウクライナ、ロシア)
ウィーン発
2026年07月24日
ウィーン比較経済研究所(WIIW)は7月1日、中・東欧および西バルカンの夏季経済予測を発表した。2026年の中・東欧のEU加盟11カ国の実質GDP成長率は、2026年4月に発表された春季経済予測から0.1ポイント引き下げられ、2.2%と予測。2027年の成長率は2.4%となる見通しだ。ユーロ圏全体との比較で、2026年は1.5ポイント、2027年は1.4ポイント上回る見込みだ。西バルカン6か国の成長率は2026年に2.5%、2027年に3.0%と予測されている(添付資料表参照)。
中東情勢悪化によるエネルギー価格の高騰がインフレを強めたにもかかわらず、中・東欧のEU加盟11カ国を含め、中・東欧と西バルカンの経済は成長を維持している。エネルギー価格やインフレ率は、当面ロシアによるウクライナ侵攻前の水準を上回ると予想されるが、侵攻後に生じたようなインフレショックが再発する兆候はみられていない。
ただし、中・東欧諸国は、地政学的課題に加え、競争力の低下、中国との競争激化、外国直接投資の減少といった構造的な問題にも直面している。また、同予測の筆頭著者であるWIIWのリチャード・グリーベソン副所長は、「中・東欧の経済成長は、主に個人消費によって牽引されている。個人消費は近年の大幅な実質賃金の上昇によって好調に推移してきたが、その勢いは鈍化しつつある」と説明。EU資金の流入や防衛産業への投資も成長を支えているが、「ドイツと緊密に結び付く中・東欧の製造業は、ドイツ製造業の危機やドイツ国内が抱える課題の影響を受け、引き続き苦戦している」と課題も指摘した。
西バルカン6カ国については、アルバニアの成長率が、2026年に3.6%、2027年に3.5%と高く、際立っている。これについてWIIWは、個人消費が成長を牽引していると指摘。名目賃金の上昇、海外からの送金流入が個人消費をさらに押し上げるとみられる。また、月額最低賃金が2026年1月に400ユーロから500ユーロへ引き上げられた。
コソボの実質GDP成長率も2026年に3.3%、2027年に3.4%と、西バルカン地域の全体値を上回る見込みだ。公共部門、製造業、貿易、サービス業、建設業がそれぞれ成長に寄与している。建設業については、住宅需要、外国投資、公共インフラ事業を背景に拡大が続いている。
セルビアの2026年の実質GDP成長率は2.0%と、西バルカン諸国の中で最も低い。個人消費は堅調に推移しているものの、輸出と投資は低調だ。政治情勢に大きな変化はみられていないが、2026年後半に議会選挙が実施される見通し。
なお、ウクライナの2026年の実質GDP成長率は1.0%、ロシアは0.6%と見込まれており、両国とも戦争の影響で低成長が続くと予測されている。
(エッカート・デアシュミット)
(中・東欧、西バルカン、セルビア、コソボ、アルバニア、ウクライナ、ロシア)
ビジネス短信 ab849bfdfcc2318d





閉じる