在欧日系企業、PPWR適用開始へ対応進めるも適合宣言書(DoC)作成などに課題、在ドイツ日系企業に聞く

(EU、ドイツ、日本)

調査部欧州課

2026年07月31日

EUの包装・包装廃棄物規則(PPWR)の一般適用開始が8月12日に迫るなか、在欧日系企業も準備を進めている。ジェトロは7月9~10日、在ドイツ日系企業3社にヒアリングした。概要は次のとおり。

化学メーカーA社は、日本やアジアの生産拠点から輸入した製品を欧州域内で販売する。PPWRについては、2026年3月に社内で初めて話が出て、対応を検討し始めた。現在、EU各加盟国の輸入事業者や日本本社、包装材サプライヤーと協力して、技術文書や適合宣言書(DoC、注1)作成のための情報入手に努めている。

食品メーカーB社は、食品接触包装における有機フッ素化合物(PFAS)含有量の計算をする際の基準の解釈が難しく、委託製造(OEM)も含めた同社の各生産拠点において混乱が起きているとした(注2)。なお、包装材に使用するインクを計算に含めると閾値(しきいち)は必ず超えてしまうという。

日本だけでなくアジア各国や米国からドイツに製品を輸入し、欧州域内で販売する商社C社は、懸念物質(主に重金属)の含有量やDoCの作成について、輸入元のメーカーに確認しているが「鋭意対応中」との回答が多く、多数の取引先のうち適用開始に向けて準備できている企業は取材時点では数社のみと考える。PPWRでは、「輸入事業者」もEUに上市(市場投入)する包装・包装製品の要件への適合性を確認する義務がある。とは言え、「製造事業者」から受領した技術文書とDoCの内容を基に適合性を判断するのは容易ではない。また、正規品とは包装や輸送梱包(こんぽう)が異なる取引先からのサンプル品の輸入においても、DoCなどのPPWR要件が適用されることが迅速なビジネスを妨げるとした。

今後の適用要件にも課題

C社は、2030年1月に適用開始する「リサイクル可能な包装」への対応についても取引先と相談しているが、課題は多い。例えば、半導体の部材に使われるアルミ蒸着パッケージは、リサイクルができないものの、品質保持のためのメーカーの要求もあり、モノマテリアル化など別素材への変更は難しいとした。

(注1)適合宣言書の記載事項や細則の発表予定などの詳細は、ジェトロ「EU PPWR概要資料(2026年7月時点)PDFファイル(1.0MB)」および特集「EU PPWR関連情報」参照。

(注2)欧州委員会が6月10日に発表したPPWRのガイダンス文書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、EUレベルにおいて食品接触包装中のPFASに関する統一された方法論は存在しない。欧州委は、最先端の分析能力および関連マトリックスにおけるPFAS検査のメタ分析に基づいた、段階的アプローチを示し、推奨している。

(森友梨)

(EU、ドイツ、日本)

ビジネス短信 88aea6668c15396a