ケニア、開発資金動員の効率化が課題に、AfDBが国別レポートで指摘

(ケニア、アフリカ)

ナイロビ発

2026年07月31日

アフリカ開発銀行(AfDB)は7月27日、2026年版「ケニア国別レポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表した。同レポートは、ケニアの開発金融上の課題は資金へのアクセス不足ではなく、限られた財政余地の下で国内外の資本を効果的に動員し、生産的な投資へ振り向ける能力にあると指摘した。報告書によると、ケニアの年間開発資金需要は約142億ドル(GDP比13%)に達する一方、2030年までに125億ドル(GDP比11.6%)の資金ギャップが生じる見通しだ。資金需要は道路(55%)、教育(22%)、エネルギー(20%)に集中している。

ケニア経済は、厳しい国際金融環境や地政学的緊張の高まりの中でも底堅さを維持し、2025年の実質GDP成長率は5.0%と2024年の4.7%から加速した。サービス業や産業部門、投資の回復が成長を支えた一方、失業率は13.9%と高く、若年失業率も約30%に達しており、成長の成果が雇用や所得向上に十分結び付いていないと分析している。

財政面では、公的債務残高が2025年にGDP比69.9%となり、政府の中期的な債務目標(55%)を大きく上回った。利払い費は政府歳入の34%を占め、財政余地を圧迫している。AfDBは、債務返済負担の増大がインフラや社会分野への投資を制約する主要因になっていると指摘した。

こうした状況を踏まえ、報告書はまず、国内資源動員の強化を提言した。税率引き上げではなく、電子税務システム(iTax)や電子税務インボイス管理システム(eTIMS)の活用拡大、税制優遇措置の見直し、不動産課税の強化などを通じて、課税ベースの拡大と徴税効率の向上を図るべきとしている。また、GDPの約30.7%を占めるインフォーマル部門に対しては、モバイルマネーやデジタル行政基盤を活用しながら段階的なフォーマル化を進める必要があるとした。

さらに、長期資金の動員も重要課題として挙げた。ケニアでは年金資産がGDP比約15%に達するものの、多くが国債に投資されている。AfDBは、インフラ債やグリーンボンド、不動産投資信託(REIT)などを通じて、年金基金や保険会社の資金を生産的投資へ振り向ける必要があると指摘した。また、官民連携(PPP)についても制度整備は進んでいるものの、案件形成能力や事業準備不足がボトルネックになっているとして、投資可能案件の形成強化を求めた。

海外在住ケニア人からの送金も重要な資金源となっている。2025年の送金額は50億4,000万ドルに達し、外国直接投資(FDI)を上回る規模となった。ただし、送金の多くは消費や住宅取得に向けられており、ディアスポラ債などを通じた長期投資資金への転換が課題として挙げられた。

このほか、AfDBは、ケニアが有する再生可能エネルギー資源や自然資本を活用した資金調達の可能性にも言及した。発電量の85~90%を再生可能エネルギーが占めるほか、2024年にはカーボン市場規則も導入されており、グリーンボンドやカーボンクレジット市場などを通じた新たな資金調達手段の拡大が期待されるとしている。

報告書は、ケニアの開発金融戦略について、「より多くの資金を集めること」から、「資本をより効果的に動員、配分、活用すること」へ重点を移す必要があると結論付けた。財政健全化や国内資源動員、資本市場の深化、PPPの活用拡大などを通じ、資金を生産性向上や雇用創出、気候変動対応につながる分野へ振り向けることが重要だとしている。

(佐藤丈治)

(ケニア、アフリカ)

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