財務・計画相、投資主導型経済への転換を柱とする財政運営方針を示す
(バングラデシュ)
ダッカ発
2026年07月22日
バングラデシュのアミール・コスル・マフムド・チョードリー財務・計画相は7月12日、第13期国会第2会期において、政府債務の現状や税収実績、税務行政改革、インフレ対策などについて説明し、「借り入れ依存型経済から投資主導型経済への転換」を柱とする今後の財政運営方針を示した。
同相によると、政府の未償還債務残高は22兆600億タカ(約29兆1,192億円、1タカ=約1.32円)に達し、このうち対外債務は9兆5,900億タカを占める。2025/2026年度(2025年7月~2026年6月)には対外債務46億5,000万ドル(うち元本30億ドル、利息16億5,000万ドル)を返済した。一方で、政府は2026/2027年度の税収対GDP比を10.4%に設定し、税収拡大を通じて借り入れの依存度を引き下げる方針を示した。また、2024年に策定した中期債務管理戦略(MTDS)に基づき、短期借り入れへの依存を抑えながら、スクーク(イスラム債)や資産証券化など資金調達手段を多様化するとともに、低利・長期の譲許的借款を優先することで、借り入れコストや借り換えリスクを抑制する考えを示した。
また、2025/2026年度の税収は4兆1,039億タカとなり、目標(5兆300億タカ)の81.6%にとどまった。所得税は目標比76.7%、付加価値税(VAT)は83.7%、関税は85.3%と、主要税目はいずれも目標を下回った。税収拡大に向けて同相は、税率の引き上げではなく、課税対象の拡大と徴税体制の強化を進める方針を示した。具体的には、企業の市場シェアなど事業規模と納税実績を比較・分析し、事業規模に比べて納税額が著しく少ない企業に対する税務調査を強化する。また、これまで税務システムに登録されていない個人・事業者については、所得税申告書の提出を求めずに、所得水準などに応じた一定額を納付することで納税者として登録できる定額納税制度を導入する。そのため、まずは税務システムへの登録を促した上で、将来的に通常の納税制度へ移行させる考えを示した。
同時に税務行政のデジタル化も進める。国家歳入庁(NBR)は法人向け電子申告の普及を進めるほか、政府機関が保有する企業情報や納税情報を相互に活用し、納税状況をより正確に把握できる仕組みを整備する。また、業種ごとの売り上げや利益水準などを基準に、納税額が不自然に少ない企業を重点的に調査するほか、オンライン源泉徴収の拡大や悪質な脱税に対する厳格な法的措置を進める方針を示した。
物価対策については、政策金利を10%に据え置き、市場原理に基づく為替制度を維持する一方で、供給力の強化に向け、バングラデシュ銀行が総額6,000億タカの資金供給制度を実施する。市中銀行が保有する余剰資金4,100億タカと中央銀行資金1,900億タカを活用し、企業向け融資を拡大することで、生産拡大と供給制約の緩和を後押しし、インフレの抑制を目指すとしている。
政府は財政健全化を増税ではなく、投資促進、課税ベースの拡大、税務行政のデジタル化、債務管理の高度化によって実現しようとしている。企業情報を活用した税務執行や電子申告の普及が進むと、企業の税務コンプライアンスへの対応の重要性も一層高まるとみられる。
(片岡一生)
(バングラデシュ)
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