パキスタン、信用格付けの引き上げを歓迎、投資誘致拡大は依然として課題も

(パキスタン)

カラチ発

2026年07月27日

パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は7月22日、信用格付け大手S&Pグローバル・レーティング(以下、S&P)がパキスタンの長期ソブリン信用格付けを「B-」から「B」へ1段階引き上げ、見通しを「安定的」としたことを歓迎した。首相は今回の格上げを「国民経済にとって重要な節目」と位置付けるとともに、政府が進めてきた経済改革に対する国際社会の信認が一段と高まった結果であるとの認識を示した。

格付け「B」は、依然として投機的格付けの範囲内にあるものの、財政・対外収支環境や制度面の改善が評価され、デフォルトリスクの低下と国際的な信用力の向上が示された。シャリフ首相は声明の中で、経済安定化政策、財政規律の強化、税制改革、外貨準備高の積み増しに向けた継続的な取組みなどが正しい方向に進んでいる証左であると強調した。また、インフレ率を抑えつつ一定の経済成長を実現するために「困難だが不可欠な経済的決断」が着実に成果を上げ、それが国際的に認識され始めていると述べ、投資家の信頼向上や海外投資の拡大を通じた経済成長への期待を示した。

近年の経済基盤改善を背景に、2025年には主要格付け会社が相次いでパキスタンの信用力評価を引き上げており、今回の格上げはこの流れをさらに後押しするものだ。2025年4月にフィッチ・レーティングスがパキスタンの外貨建て長期格付け(IDR)を「CCC+」から「B-」へ、7月にS&Pが「CCC+」から「B-」(注)へ、8月にムーディーズが「Caa2」から「Caa1」へそれぞれ引き上げた。これらの格上げは、政府の対外債務状況の改善に起因していた。

今回の格上げは単なる「経済危機からの脱却」ではなく、IMFの支援下で進められてきた構造改革が経済基盤の安定化というかたちで一定の成果を上げ、国際的な信用力の改善につながったと捉えられる。一方で、パキスタン中央銀行(SBP)によると、2025/2026年度(2025年7月~2026年6月)の対内直接投資(FDI)流入額は前年度比約34%減となっており、投資誘致の拡大は依然として課題だ。今後、格付け改善を実際の投資拡大の呼び水としていくためには、財政改革と経済安定化政策の継続に加え、民間セクターの視点に立った公正かつ予見可能な制度運用や規制・行政手続きの透明性向上を通じて、既存の進出企業を含む海外投資家の信頼を醸成できるかが重要な焦点となる。

(注)S&Pの長期ソブリン信用格付け定義は次のとおり。他の主要格付け会社による評価もおおむね同水準に相当する。

  • CCC+:デフォルト(債務不履行)のリスクが高く、不利な事業・財務・経済環境に対して極めて脆弱(ぜいじゃく)な水準。
  • B-:投機的格付けの範囲内にあり、現時点では債務履行能力を有しているものの、不利な事業・財務・経済環境の変化に対して脆弱な水準。
  • B:投機的格付けの範囲内にあるものの、「B-」より信用力が一段階改善した水準。現時点では債務履行能力を有しているが、不利な事業・財務・経済環境の変化に対しては依然として脆弱性を有する。

(糸長真知)

(パキスタン)

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