タジキスタン、中国と地域間協力、鉱業、IT、物流などの分野での協力を合意

中国・中央アジアサミット出席のため中国・陝西省西安を訪問したタジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領は5月18日、中国の習近平国家主席と会談した。今回の訪問期間中、2国間で合計25の協力文書に署名がなされている。

今回署名された文書の分野には、対テロ、法医学、マスメディア、無償資金協力、物流、貿易、民間航空、科学共同研究などの分野のほか、タジキスタン南部ハトロン州と中国陝西省、ハトロン州ダンガラ市（注1）と陝西省威南市、首都ドゥシャンベと四川省成都市、スグド州にあるタジキスタン第2の都市フジャンド市と甘粛省蘭州市との地域間交流などがある。

企業関連の文書では、タジキスタン政府、中国石油天然気集団（CNPC）中央アジア、トタルE＆Pタジキスタン（注2）3者間の生産分与追加契約、タジキスタン政府と西藏珠峰资源（注3）間の協力覚書、中国の華為技術（ファーウェイ）によるタジキスタン国家データ解析センター（データセンター）設立に関する覚書などが含まれている。

タジキスタン国営通信社が5月18日に報じたことによると、首脳会合ではタジキスタンのアルミニウム製造大手タジキスタン・アルミニウム（TALCO）の再建、電気自動車と関連部品の生産立ち上げ（注4）、綿花や園芸作物を中心に中国の農業技術導入などで合意したと報じられている。

物流分野では、中国側からの提案である「中国～タジキスタン～北アフガニスタン経済回廊（自動車輸送ルート）」をタジキスタン政府が支持すること、タジキスタン・中国間の自動車国境審査場の修理・補修、ゴルノ・バダフシャン自治州の一部区間の道路建設をタジキスタン政府が重視していること、などが伝えられている。

首脳会談に先立つ5月17日、ラフモン大統領は中国が主導するアジアインフラ投資銀行（AIIB）の金立群総裁と会談した。タジキスタン政府が建設を進めるログン水力発電所にAIIBが5億ドルの追加融資を行うことが発表されている。

（注1）ラフモン大統領の出身地。市近郊にはダンガラ自由経済特区が設置されている。

（注2）タジキスタン南部ハトロン州を中心に、天然ガスなどの探査・掘削を実施している。

（注3）タジキスタンと中国による合弁企業。鉛や亜鉛精鉱などを製造している。

（注4）5月18日には、ラフモン大統領と中国電気自動車製造大手・比亜迪汽車（BYD）副社長との面談も実施された。

（高橋淳）