針ヶ谷 元基

INTERVIEW 日本を世界へ。世界を日本へ。

北海道に魅せられた外国企業の発想を
道内経済の活性化へ結びつける。

針ヶ谷 元基

Harigaya Motoki

北海道貿易情報センター
2018年新卒入構

北海道への進出を目指す外国企業を支援

入構以来の希望が叶い、慣れ親しんだ北海道に戻ってきました。千葉で生まれて東京で高校を卒業し、大学院を含めて6年間の学生時代を過ごした北海道は私にとって第二の故郷のような場所。その北海道生活6年目、「JETROに決めました」と報告し、教授に驚かれたことを思い出します。大学院では学生時代は土砂災害を研究。修了生の多くが建築系コンサルに進む理系院生の進路としては例外的でしたが、私の中では、これ以外にないベストな選択でした。

かつて7年間をオランダで過ごした私は、一時帰国のたびに日本の商品やサービスの良さに魅力を感じ、いつしか「優れた日本製品を世界に紹介する仕事がしたい」と考えるようになりました。また大学院で学んだ日本独自の防災技術は、世界中の災害被災地の経済復興に役立つと確信。そんな背景もあって迷わずJETRO入構を希望しました。

3年ぶりの北海道で、私は当地への進出を目指す外国企業の支援を担当しています。北海道の自然や農産物は世界的に注目度が高く、行政も海外に向けて積極的なPRを展開。そうした中、アジアをはじめ英国、フィンランドといった欧米諸国からも企業進出が続いています。

外国企業の発想や構想力を北海道のイノベーションにつなげる

進出企業の事業領域は、雄大な景観を紹介する「観光」、良質な農産物を活用する「食」、寒冷な気候に着目したデータセンターに代表される「IT」など多岐にわたります。支援ニーズは千差万別で、道内企業とのマッチングを求められることもあれば、自治体との交渉支援、中にはオフィス物件や工場用地のリサーチから関わるケースも。商習慣や規制の違いに不安を抱く外国企業がスムーズに進出できるよう、常に「何に困っているか」を把握することを心がけています。

重要なのは、単に誘致するだけでなく、外国企業が持つ発想や構想力を道内経済の活性化やイノベーションにつなげる姿勢です。投資プロジェクトが進行中の案件ばかりのため具体名を出すことができないのですが、英国の食品メーカーやインドのIT企業などの誘致を進めています。たとえば最先端の技術を持つ外国IT企業の技術センターが北海道に設立されることは、単なる投資誘致に留まらず、地域の大学や企業との共同研究などを通じたイノベーションの起爆剤になることが期待されます。

先日、支援していたある外国企業が北海道に新しいお店をオープンしました。その時はメディア取材もアレンジしたのですが、社長にも大変喜ばれ、思い入れのある案件が1歩を踏み出したということで私としても感無量でした。

未知の魅力を探りながら、イン・アウト両面から北海道を元気に

北海道貿易情報センターでは、アウトバウンド、つまり道産品の輸出支援事業にも精力的に取り組んでいます。輸出セミナーや展示会イベントを独自に開催するほか、商工会議所の主催で、札幌に世界各国のバイヤーを集めて実施する国内最大級の食品輸出商談会「フード北海道」の企画・運営に参加。2020年は新型コロナの影響でオンライン開催となりましたが、例年は札幌までの移動距離がネックとなって参加を見送ってきた道東や道北の企業さんからも出展が相次ぐなど、思わぬ成果もありました。

前述の通り北海道は「食」の宝庫。ジャガイモなどの原材料はもちろん、お菓子や缶詰などの加工品にも多くの外国企業が関心を示しており、北海道ブランドのポテンシャルを感じています。また「食」に限らず、家具生産が盛んな旭川の企業の木工品輸出に関わるなど、アウトバウンド領域も少しずつ広げていっています。

北海道に赴任してまだ1年足らずですが、支援事業で各地を訪問するうち道内には未知の魅力にあふれた町がたくさんあることに気づきました。たとえば旭川に近い東川町は、独自のフォトコンテストや斬新な街並みづくりが話題を集め、道内外から移住者が相次いでいます。学生時代に道内はあらかた行き尽くしたつもりでしたが、大きな勘違いでした。今後はガイドブックに載っていないような魅力的な町を訪ねながら輸出支援事業に積極的に手を広げ、イン・アウト両面から第二の故郷である北海道を盛り上げていきたいと思っています。

北海道最大級の食品の輸出展示商談会「FOOD HOKKAIDO」。JETROは毎年海外バイヤーを誘致して商談アレンジしている。2019年まではリアル開催(左写真)だったが、2020年はオンライン商談会として実施。オンライン特有の商談スキルについて説明するセミナーも開催(右写真)。

MY FUTURE

当面の目標は、北海道勤務の間にイン・アウト両面で経験を積み、北海道経済の活性化に少しでも役立つこと。その後は、日本と関係が深い東南アジアなどへの海外駐在も経験したいですが、「企業に寄り添った支援」重視の姿勢は不変です。

OFF TIME

札幌市内の卓球コミュニティに加入。卓球部員だった高校時代を思い出しながら、週1、2 回のペースで練習会に参加し気持ちのいい汗を流しています。

ONE DAY SCHEDULE

  • 08:50

    出勤。

  • 09:00

    業務開始。
    外国企業、ビジネスパートナーの道内企業、自治体などから届いたメールをチェックし、対応を検討。

  • 10:00

    難易度が高い案件から取りかかる。 自治体と外国企業の会議に向けての内容調整で午前中いっぱいかかった。

  • 12:00

    ランチ。選択肢が多すぎて迷う。

  • 13:00

    道内で飲料工場建設を進めている外国企業の案件で建設会社へ。

  • 16:00

    道内初上陸の北欧の担当者とオンラインでミーティング。

  • 17:45

    終業時刻。事務処理をもう少し。

  • 18:00

    退社。今日も多忙だったが充実!