森 悠介

INTERVIEW

日独の旺盛な
イノベーション創出を支援。
技術の類似性が
ビジネスチャンスをさらに広げる。

森 悠介

Mori Yusuke

2011年新卒入構

公益性・貢献性はJETROならではの魅力

海外駐在は、JETROに入構した職員の多くが希望すると思います。私自身も入構当初から海外駐在、特にドイツ行きを希望していました。大学時代にコブレンツというフランクフルトの近くの街に留学しており、その経験が活かせると考えたためです。また最初の配属となった対日投資部には、たまたまドイツ駐在経験者が多く在籍していたため、いろいろな話を聞くうちに興味も強くなっていきました。知見を広める意味で他の国もあり得ましたが、ドイツ駐在が決まったときは本当に嬉しかったです。

デュッセルドルフは、両親が一時期仕事で住んでいたほか、留学時代のインターンシップで働いていたこともある思い出の街。JETROとの出会いもそこからでした。就活では、元々企業の海外展開などに興味がある中で、 商社や金融も考えましたが、「企業を支援する」という公益性の部分はJETROならではの魅力でした。また、就活を進める中では、 JETROのOB・OGの方々とお話をする機会もあり、そこでの出会いにも強く惹かれました。皆さん生き生き働く感じと、とにかく和気あいあいで仲が良さそうな印象。そんな中で私も活躍できればという思いが生まれ、第一志望になりました。

日独の類似性がさまざまな協業を可能にする

ドイツと日本は産業構造が似ていると言われます。自動車産業をはじめとする製造業が盛んであり、また中小企業が多く活躍しています。ドイツは欧州の中でも特に多くの日系企業が進出している国です。特にデュッセルドルフには、商社やメーカー、メガバンクが拠点を設けるなど、日本との経済的な繋がりがとても太い都市といえます。昨今ドイツでは、デジタル化という大きな流れに加え、E Vなどの電動自動車や再生可能エネルギーのさらなる導入、水素技術の活用など、温室効果ガス(GHG)削減に向けた取り組みに注目が集まっています。大企業はもちろん、最近ではこれらの分野にビジネスチャンスを見出す日本の中小企業やスタートアップからのアプローチも増えています。

また、日本の大手企業の中には、新たなイノベーションの創出に向け、ドイツのスタートアップとの提携を模索する動きも出てきています。こうした日本企業を支援するために2020 年2月に実施した「ドイツ(ミュンヘン)・オープンイノベーションミッション」では、プログラムの企画・運営を担当、地元の商工会議所等と協力し、日系企業とミュンヘン地域のスタートアップのマッチングをアレンジしました。

JETROは2020年、そのミュンヘンに新しい事務所を開設しました。ベルリン、デュッセルドルフに次いで、ドイツ国内3番目の事務所であり、日独の経済交流を支援していく体制がさらに強化されました。製造業以外でも、日本食の普及や伝統・デザイン産品の輸出拡大など、様々な分野での協業が期待されており、政府機関だからこそできる取り組みもあります。また連邦制を採用しているドイツでは、特に経済政策は各連邦州の権限が強いといわれていますが、地元の経済界や州政府などとのつながりもJETROの強みといえると思います。実際に私たちが提供した情報やノウハウ、ネットワークの紹介により、「プロジェクトが前に進んだ」、「理解が深まった」という声をいただけたときは充実感を感じます。

「ドイツ(ミュンヘン)・オープンイノベーションミッション」の様子。日本企業との連携に対するドイツ側の関心は高く、日本企業6社に対してドイツのスタートアップなどから約70人が参加するなど盛況だった。

家族全員が気に入っているデュッセルドルフでの暮らし

デュッセルドルフでの駐在は5年を超えました。実は妻もJETROの職員なのですが、「配偶者同行休業制度」を利用して2年間こちらで一緒に暮らしました。妻は一度日本に帰国し、復職しましたが、その後出産。育児休業制度を利用し、一昨年から子どもと一緒に再び来てくれて、今は一緒に暮らしています。デュッセルドルフの暮らしは本当に快適です。人口約60万人の中規模都市ということもあり、比較的リラックスした雰囲気がある上、市電(トラム)で移動する際にベビーカーを乗せるのを周囲の方が手伝ってくれたり、親子で市場に行くとリンゴやハムをおまけでいただいたり、私たちを含む外国人や、特に小さい子どもを持つ親子にもオープンで、優しい文化が根付いていると感じます。妻も子どもも当地での暮らしをとても気に入っています。多くの日本人が居住していることから、日本スーパーや日本語の通じる病院が整っている点も何かと心強いですね。

新型コロナウイルスの感染拡大が進む前は、家族と一緒に近隣の国に旅行にもいきました。デュッセルドルフからは、オランダやベルギーがすぐ近くなので気軽に日帰りでも遊びに行けます。また市内には国際空港もあるため、比較的短い休日でも英国やフランス、スペイン、イタリア、東欧などにも足を延ばすことができます。旅行先では、観光以外でも、サッカー観戦をしたり、美術館やコンサートに行ったり、日本ではなかなかできない経験や新たな発見もありました。

駐在期間中は様々な経験を積ませていただいていますが、自分自身の実力不足を痛感することが多々あります。例えば以前セミナーでドイツの経済概況について講師を任せていただいたことがありました。ドイツ駐在後、初めての講師依頼ということもあり、張り切って準備したものの、緊張もありプレゼンは散々で、お客様からは内容に対して厳しい評価をいただいてしまいました・・・。ただ、JETROでは若いうちからそういうチャレンジングな機会を一任してくれる風土があり、難しさもありますが、やりがいを感じられる部分でもあります。ドイツ駐在がいつまで続くかは分かりませんが、今後もドイツや欧州地域に関連した業務に携れるよう、専門性を磨いていきたいです。気軽に相談に乗ってくれる上司や先輩ばかりですので、皆さんの指導や意見に耳を傾けながら今後も成長をしていけたらと思っています。

MY FUTURE

今後もドイツ語圏で力を発揮していきたいという思いが一番強いです。願わくば、将来もまたドイツに戻ってきたいですね。ただ、現在の上司のように相談すれば何でも的確に応えてくれるような知識や経験はまだまだ足りないので、まずは自分を磨くことからです。

OFF TIME

サッカーが好きで、ドイツのプロサッカーリーグであるブンデスリーガをライブで楽しめるのは最高です。また自分でも地元のホビーチームでプレイをしています。

ONE DAY SCHEDULE

  • 08:45

    出社。メールチェックと対応。

  • 09:00

    東京とのリモートミーティング。
    時差の関係で午前中にやることが多く朝が一番忙しい。

  • 11:00

    日本企業とのオンラインブリーフィング。
    ドイツの経済状況をご説明する。

  • 12:00

    ランチ。デュッセルドルフは日本食が多い!

  • 13:00

    日系企業がご来所。
    新型コロナウイルスへの対処について意見交換。

  • 15:00

    調査の仕事も担当。
    落ち着く午後に原稿執筆の時間をつくる。

  • 18:30

    退社。子どもの顔を見たいのでまっすぐ帰る。
    駐在当初はドイツ語教室にも通っていたが、今はもっぱら家族との時間を過ごす。