11月1日以降の新型コロナ警戒信号の色発表、緑が29州まで拡大

(メキシコ)

メキシコ発

2021年11月01日

メキシコ連邦保健省は10月30日、各州の新型コロナウイルス感染警戒信号(2020年5月15日記事6月2日記事6月15日記事8月31日記事2021年7月26日記事参照)で11月1日以降に適用する色を発表した(添付資料表参照)。全国32州のうち、1州がオレンジ、2州が黄色、29州が緑となり、黄色が9州減って緑が9州増えた。今回、色が後退した州はない。ただし、バハカリフォルニア州は6週連続のオレンジとなり、感染状況が改善していない。進出日系企業の多い州では、バハカリフォルニア州がオレンジ、アグアスカリエンテス州、グアナファト州が黄色、チワワ州、コアウイラ州、メキシコ市、ハリスコ州、メキシコ州、ヌエボレオン州、ケレタロ州、サンルイスポトシ州、タマウリパス州、サカテカス州が緑。

発症日別の新規感染者数を週単位でまとめたデータをみると、第31週(8/1~7)をピークに10週連続で減少を続けており、第41週(10/3~16)の発症者数は2万4,864人(1日当たり3,552人)で、ピーク時の18.8%の水準まで低下している(注)。病床利用率も10月28日時点で一般病床が21%、人工呼吸器付き病床が18%まで低下した。

AMLO大統領はワクチン接種目標達成と宣言

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は10月29日、南東部カンペチェ州で行われた記者会見で、18歳以上の全ての成年に対して10月末までにワクチンを少なくとも1回は接種する目標を達成したと発表した。しかし、保健省が同日に発表した資料によると、ワクチン接種が1回でも完了しているのは10月28日までに7,442万9,083人で、成人人口の83.2%に過ぎない。所定回数を接種済みの国民は6,013万77人で、同67.2%にすぎない。また、若い人口構成のメキシコでは、未成年(18歳未満)の人口が全体の30.6%を占めるが、未成年に対するワクチン接種については方針が定まっていないため、対策が不十分との声も強い。

メキシコ州第7地区裁判所は10月25日、感染症に弱い病気の罹患(りかん)にかかわらず、全ての12~17歳の未成年に対するワクチン接種を命じた10月12日付の命令(2021年10月18日記事参照)を行政府が正式に受け取らないことに対し、行政府に判断のための5営業日の期間を再び与えるとともに、これ以上無視する場合は権力乱用の罪を問うとし、連邦検察庁(FGR)に訴えることも辞さないと決定した。同裁判所は、未成年に対して直ちにワクチン接種を開始する必要はないとしつつも、国家ワクチン接種計画(PNV)を改定し、2022年3月までに同年齢層への接種を完了することを求めている(10月30日付現地紙「レフォルマ」など主要各紙)。

(注)発症日ベースの統計は後から感染が確定して追加されることが多いため、最終的には1日当たり4,000人前後になると推定される。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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