VW、カナダEV電池工場へ70億Cドル投資、連邦・州政府も最大132億Cドル拠出へ

(カナダ、ドイツ)

トロント発

2023年04月24日

ドイツ自動車生産大手のフォルクスワーゲン・グループ(VW、本社:ドイツ・ボルフスブルク)と同社傘下のバッテリー企業パワーコは4月21日、カナダ・オンタリオ州のセント・トーマスへの電気自動車(EV)用電池生産工場建設に関する計画の詳細を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、最大90ギガワット時の年間生産能力を持つギガファクトリー建設を目標としており、完成すればカナダで最大規模のEV用電池工場となる。2030年までに最大70億カナダ・ドル(約6,930億円、Cドル、1Cドル=約99円)を投資し、2024年の起工と2027年の生産開始を予定するとしている。370エーカー(約150万平方メートル、東京ドーム約32個分)におよぶ工場では最大3,000人の高度技術職の直接雇用を見込み、周辺地域では数万人の間接雇用を創出する可能性があるという。同社は、2023年3月にカナダへの工場建設決定を発表し、詳細は近日中に明らかにするとしていた(2023年3月17日記事参照)。

同社の発表に合わせ、カナダ政府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますオンタリオ州政府も同日、公的支援について明らか外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにした。カナダ政府はVWに対し、米国のインフレ削減法(IRA)の先進製造業生産控除(Advanced Manufacturing Production Credit)に匹敵する、1キロワット時当たり35ドルに相当する生産支援を行う。米国と同様、カナダの支援は生産・販売分のみが対象となり、2030年から毎年25ポイントずつ段階的に削減され、2032年以降は控除が廃止される。公的支援の拠出総額は、生産規模に応じて80億~132億Cドルとなる見込みで、試算では5年以内に政府の投資額に匹敵する経済効果が見込まれるという。

また、オンタリオ州政府は、VW5Cドルの直接奨励金を支給するとともに、セント・トーマス地域におけるインフラ整備へ数億Cドルを投ずることを明らかにした。

カナダでは2022年以降、ホンダ(2022年3月17日記事参照)、ゼネラルモーターズ(GM、2022年4月6日記事参照)、ステランティス(2022年5月10日記事参照)、フォード(2023年4月18日記事参照)などがEV生産に向けた投資について相次いで発表している。

(飯田洋子)

(カナダ、ドイツ)

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