2022年12月の新築住宅価格が55都市で下落、前月より4都市増加

(中国)

中国北アジア課

2023年01月23日

国家統計局は1月16日、2022年12月の中国主要70都市の住宅販売価格指数を発表した。同月の新築住宅(低・中所得者に向けた保障性住宅を含まず)販売価格指数は、前月と比べ70都市のうち55都市が下落、15都市が上昇した(注1)。

前月比で下落した都市数は、2022年11月より4都市増加した。同都市数は新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大を受け上海市で封鎖管理が行われた同年4月(47都市)、5月(43都市)から、6月に38都市と改善をみせた。しかし、その後は国内で局地的な感染拡大が発生したこともあり、8月以降は5カ月連続で50都市を上回っている。主要70都市の新築住宅販売価格指数を単純平均した、前月からの変化率をみても、12月は0.2%下落で、その変化率は2021年9月以降一貫してマイナスが続いている(添付資料図参照)。

国家統計局は、2023年1月17日に2022年の主要経済指標を発表したが(2023年1月20日記事参照)、2022年の不動産開発投資は前年比10.0%減、全国の住宅販売額は26.7%減といずれも減少した。また、同年GDPにける業種別の対前年比成長率をみると、不動産業は、全業種の中で最もマイナス幅が大きかった(マイナス5.1%、なお、同年第4四半期は前年同期比マイナス7.2%、注2)。国家統計局の康義局長は、同主要経済指標の発表に際し、不動産業およびその関連産業は、GDP全体に占める構成比が約13~14%に達していることから、経済への影響が大きい点を指摘しつつ、不動産開発投資の減少により固定資産投資の通年の伸び率が2.7ポイント押し下げられたと明らかにした(固定資産投資は前年比5.1%増)。

こうした情勢も踏まえ、2022年12月に開催された2023年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議の重点任務には、不動産市場の安定的発展の確保、住宅引き渡しの着実な実施、不動産業の合理的な資金需要の充足、業界再編とM&Aの推進、トップ企業の資産・負債状況の改善などが盛り込まれた(2022年12月27日記事参照)。

中国政府は、前年(2022年11月24日記事参照)に引き続き2023年に入っても、不動産市場下支えのための政策を打ち出している。中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会は1月5日に通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、条件を満たした都市が、自らの判断で1件目の個人向け住宅ローン金利の下限を段階的に引き下げ・撤廃することができるとした措置(2022年10月12日記事参照)の継続を決めた。

こうした政策措置を受けて不動産市場が回復するかは、中国政府が新型コロナ感染拡大の予防抑制措置をよりいっそう合理化した状況下で、国民の消費や投資マインドが改善していくかが注目点だ。中国人民銀行が2022年12月27日に発表した同年第4四半期の全国50都市の都市部預金者向け(計2万人)アンケート調査では、「さらに貯蓄をしたい」と答えた割合は61.8%と、第3四半期に対して3.7ポイント上昇。他方で、「さらに消費をしたい」は22.8%、「さらに投資をしたい」との回答は15.5%にとどまった。

(注1)中古住宅販売価格指数も、前月と比べ70都市のうち63都市が下落、7都市が上昇と、新築住宅販売価格指数と同様に下落した都市が大勢を占めた。

(注2)このほかで前年比マイナスの伸びとなったのは、ホテル・飲食業(マイナス2.3%)、交通運輸・倉庫・郵政業(マイナス0.8%)。

(宗金建志)

(中国)

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