COP28ジャパンパビリオンで日本企業が脱炭素技術を紹介

(日本、アラブ首長国連邦、世界)

ドバイ発

2023年12月21日

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで11月30日~12月13日に開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、日本政府はジャパンパビリオンを設け、最先端の環境技術を紹介した(2023年12月6日記事参照)。

COP28の主要議題「エネルギー移行」に関しては、商船三井が風力エネルギーを船舶の推進力に活用する次世代風力推進硬翼帆「ウインドチャレンジャー」と、風力により水素を生産し輸送まで行う水素生産船「ウインドハンター」を紹介。ウインドチャレンジャーは船舶燃料の使用量を抑え、約5~8%の温室効果ガス(GHG)排出削減効果を見込めるという。日立製作所はサステナブルな社会実現に貢献する再生可能エネルギーの高効率な長距離送電が可能な高圧直流送電(HVDC)や、数秒以内に電気バスを急速充電するシステム、使用済み電気自動車(EV)バッテリーを活用した蓄電池などのソリューション展示を行った。三菱重工業(注)は水素発電・製造技術の展示を行い、世界初となる水素の製造から発電にわたる技術を一貫して検証できる実証設備「高砂水素パーク」(兵庫県高砂市)での取り組みなどを紹介した。加えて、二酸化炭素(CO2)の回収・輸送・リサイクル・貯留(CCUS)のバリューチェーン構築による脱炭素ソリューションの展示を行った。

写真 商船三井の展示ブース(ジェトロ撮影)

商船三井の展示ブース(ジェトロ撮影)

写真 日立製作所の展示ブース(ジェトロ撮影)

日立製作所の展示ブース(ジェトロ撮影)

また、COP28で発表された「世界冷房誓約」(2023年12月8日記事参照)で目標となった冷房機器のCO2排出量削減に関しては、ダイキン工業が高効率インバータエアコンの技術を紹介。50%の省エネルギー達成に貢献するという。大成建設は建築物ライフサイクルのCO2排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンビル」技術の展示を行い、空調などを制御する次世代型人検知センサーなどを紹介した。

気候変動に伴う「適応」の分野では、NECなどによる適応コンソーシアム準備室が「適応」策プロジェクトへのファイナンスを促進するDX(デジタルトランスフォーメーション)の事例を紹介し、適応ファイナンスへの取り組みの必要性を提唱した。デジタル技術を活用してプロジェクトの防災・環境価値を可視化し、投資を促す経済価値へと転換する仕組みをつくるとしている。

(注)12月4日にジェトロが実施した「Japan Green Innovation Conference」でも、三菱重工業を含む日本企業11社(2023年12月8日記事参照)と、日本のスタートアップ7社(2023年12月8日記事参照)が各社の脱炭素技術を紹介した。

(久保田夏帆、清水美香)

(日本、アラブ首長国連邦、世界)

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