COP28で低炭素な水素認証制度の相互承認についての宣言が発表

(アラブ首長国連邦、世界、日本)

調査部中東アフリカ課

2023年12月14日

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)(2023年12月1日記事参照)において12月5日、COP28議長国のUAEにより「水素ハイレベルラウンドテーブル」が開催され、「再生可能かつ低炭素(注)な水素および水素派生物の認証制度の相互承認にかかるCOP28意向宣言」が発表された。12月13日時点で、米国や日本、ドイツ、フランス、韓国を含む37カ国が参加している。

同宣言では、再生可能かつ低炭素な水素および水素派生物の世界市場を発展させることを目的として、参加国はそれぞれの認証制度の相互承認を目指すとしている。参加国は相互認証の実現に向け、毎年、進捗状況の確認を行う意向を表明している。

「水素ハイレベルラウンドテーブル」では、国際標準化機構(ISO)が開発した、水素経路の温室効果ガス(GHG)排出量評価方法論の発表も行われた。ISOは同方法論について、ライフサイクル分析に基づき、水素の製造から消費までのサプライチェーン全体でのGHG排出量を評価するための真に国際的なものだとしている。

「水素ハイレベルラウンドテーブル」に先立ち、12月1~2日の日程で自治体の首長などが集まる「COP28地域気候行動サミット」が開催され、日本から参加した東京都の小池百合子知事が1日、日本国内では初となる「水素取引所」を立ち上げる構想を発表した。水素取引所の設立にあたっては、ドイツの財団「H2グローバル」と協力するとしている。同財団は、グリーン水素のドイツ国外での生産とドイツへの輸入を推進する「H2プロジェクト」の実施のため2021年に設立され(2021年6月23日記事2022年12月12日記事参照)、ドイツエネルギー大手のシーメンス・エナジーなど54社が参加している。

(注)同宣言では「低炭素」の定義について、再生可能エネルギーや原子力エネルギー、または炭素(CO2)回収・隔離によって製造された水素を含むが、温室効果ガスの排出削減対策が講じられていない化石燃料(天然ガスを含む)によって製造された水素は含まないとしている。

(久保田夏帆)

(アラブ首長国連邦、世界、日本)

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