主要経済研究所、2023年経済成長率予測をプラスに修正

(ドイツ)

ベルリン発

2023年04月10日

ドイツの主要経済研究所(注)は4月6日、春季合同経済予測PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2023年の実質GDP成長率は0.3%と、2022年9月の秋季予測(2022年10月4日記事参照)から0.7ポイント上方修正した。2024年は1.5%と、秋季予測から0.4ポイント下方修正した(添付資料表参照)。

秋季予測で懸念されていた2022年第4四半期(10~12月)と2023年第1四半期(1~3月)の2四半期連続のマイナス成長(リセッション)は回避された。部材供給の逼迫状況が緩和(2023年4月3日記事参照)、また、エネルギー価格もわずかながら下落しているため、製造業が今後しばらく経済を牽引すると予測。実質賃金が上昇に向かうため、個人消費も2023年の経済拡大に貢献するという。一方で、成長の足かせとなるのは建設業で、資金調達コストの上昇に伴う需要減退が生じていると指摘した。

春季予測を受け、ドイツ商工会議所連合会(DIHK)のマーティン・バンスレーベン会長は同日、「ポジティブな兆候はあるが、国外からの需要動向は依然不透明」で、「ドイツは、投資の脆弱(ぜいじゃく)さが問題だ。企業の設備投資は2023年末までに、2019年の新型コロナウイルス危機以前の水準には回復しないだろう」との懸念を表明した。さらに、再び投資を促進するには、投資額のより早い償却を可能にするなどの税制優遇措置や、より徹底したデジタル化による行政手続きの簡素化などの政府による対策が必要との考えを示した。

インフレ率は2024年に大幅鈍化の予測

春季予測では、2023年の年平均消費者物価指数(CPI)上昇率は6.0%と、2022年の6.9%を下回ると予測した。CPI上昇率は、主にエネルギー価格の下落によって2024年にようやく2.4%まで低下するとの見通しを示した。

なお、連邦統計局は3月30日、3月のCPI(速報値)を前年同月比7.4%上昇と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。直近では2022年12月8.1%、2023年1月8.7%、2月8.7%と高水準で推移していた。3月はエネルギー価格上昇率が2月の前年同月比19.1%から3.5%へと落ち着いてきたために、CPI上昇率が2カ月ぶりに鈍化した。これまでに連邦政府が講じたガスと地域熱供給への付加価値税(VAT)の一時的な引き下げ(2022年10月11日記事参照)や、一般家庭や中小企業向けのガスと地域熱供給の料金補助(2022年11月11日記事参照)、ガス・地域熱・電気の上限価格設定(2022年12月6日記事参照)などの対策も効果を発揮している。

(注)主要経済研究所とは、ifo経済研究所、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)、ライプニッツ経済研究所(旧名:RWIエッセン)。

(中村容子)

(ドイツ)

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