自国資源の有効活用を主張、ジョコ大統領が演説

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年08月23日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は817日、77回目の独立記念式典でスピーチを行った(国家官房ウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。新型コロナウイルス禍にあっても、同国経済は回復傾向にあるとしつつも、さらなる成長のために自国資源を有効に活用すべきと主張した。

ジョコ大統領はスピーチで新型コロナ禍に加え、直近のウクライナ情勢や食料、エネルギー問題により、世界の経済回復は道半ばだと指摘した。一方、ASEAN諸国のインフレ率が平均7%台である一方、インドネシアは4.9%台に抑えられていること、貿易収支が27カ月連続で黒字だったことなどを挙げ、「インドネシアは世界的な危機を乗り越えた国の1つだ」とした。

さらに、自国を前進させるために(1)新型コロナ禍からの回復、(2)豊富な天然資源、(3)人口ボーナス、(4)国際的な信頼という「4つの資本」を活用する必要があると述べた。(4)については、ジョコ大統領のウクライナとロシア訪問(2022年7月4記事、7月11日記事参照)を念頭に、「両国はインドネシアを平和の架け橋として歓迎した」と自身の外交成果をアピールした。

また、(1)天然資源の川下化・産業化、(2)グリーン・エネルギーとグリーン経済の開発、(3)一般市民の、法律や政治的観点からの継続的な保護の強化、(4)デジタル技術を活用した中小零細企業の底上げ、(5)新首都建設の迅速化という5点を通し、包括的で公正かつ持続可能な国家に発展させるとした。(1)については、ニッケルの国内での高付加価値化により、鉄鋼の輸出が2014年には16兆ルピア(約1,472億円、1ルピア=約0.0092円)から2021年には306兆ルピアに増加したことを挙げた。さらに、銅やボーキサイトに関しても同様に川下化を奨励するとした。同国は2020年からニッケル鉱石の輸出を全面的に禁止している(2022年3月25日付地域・分析レポート)。

(上野渉)

(インドネシア)

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