2022年1~3月のASEAN6カ国の貿易は2割増、3月は過去最高ラッシュに

(ASEAN、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム)

バンコク発

2022年05月26日

ASEAN主要6カ国(タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム)の2022年1~3月の貿易統計が出そろった(注)。ジェトロが集計したところ、6カ国の2022年1~3月の貿易総額は前年同期比19.7%増の8,881億7,000万ドルに拡大した(添付資料表1参照)。インドネシア(33.2%増)を筆頭に貿易の拡大がみられ、同国以外の国でも15%~20%の増加がみられた。3月単月の貿易総額は、各国で過去最高となった。

貿易収支をみると、インドネシアとマレーシアの黒字幅が拡大した。他方、フィリピンは赤字がさらに悪化して138億9,200万ドルとなったほか、タイも赤字に反転した(添付資料表2参照)。タイは、化学製品や電子集積回路などの輸出が増えたものの、エネルギー価格の上昇により輸入の増加幅が輸出を上回った(2022年5月12日記事参照)。

シンガポールとベトナムでも貿易黒字幅は縮小した。ベトナムは、前年同期が好調だっただけに、輸出の伸び率は減速した。一方、輸入の方は、石油製品のほか、化学原料や化学製品が増大し、輸出品の材料であるコンピュータ電子製品・同部品も輸出を上回る伸び率となった(2022年4月28日記事参照

2022年1~3月の輸出総額は、前年同期比18.2%増の4,560億9,000万ドルだった(添付資料表3参照)。インドネシアが35.3%増と大幅に増加し、マレーシアが18.6%増、シンガポールが17.1%増と好調だった。インドネシアは石油・ガスの輸出が堅調で、継続的に貿易黒字が出ている(2022年5月9日記事参照)。マレーシアも、集積回路など電気・電子製品の輸出が好調だったほか、精製石油製品、パーム油・同製品も堅調だった(2022年5月9日記事参照)。各国輸出の月次推移をみると、2022年1~2月はやや減少したが、3月は6カ国とも過去最高額を記録するなど、拡大が鮮明だった(添付資料図1参照)。

2022年1~3月の輸入総額は、前年同期比21.2%増の4,320億8,000万ドルとなった(添付資料表4参照)。インドネシアが31.0%と増大したほか、フィリピンが28.0%増、マレーシアが21.4%増、シンガポールが21.3%増と2割超の増加がみられた。輸入の月次推移をみると、2022年3月は6カ国とも過去最高額を更新した。いずれの国においても、エネルギー価格の上昇が影響している(添付資料図2参照)。

(注)各出所は以下のとおり。タイ:商務省、マレーシア:統計局、インドネシア:中央統計庁、シンガポール:統計局、フィリピン:統計庁、ベトナム:税関総局。

(北見創)

(ASEAN、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム)

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