在英日系企業の約5割が英国への輸入で日英EPAを利用、2021年度欧州進出日系企業実態調査
(英国、EU、日本)
欧州ロシアCIS課
2022年01月18日
ジェトロは1月18日、2021年9月3~24日に欧州進出日系企業を対象に実施した、経営実態に関するアンケート調査の結果を発表した〔「2021年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」参照〕。881社から有効回答を得た(有効回答率60.6%)。その中から、在英日系企業の動向について紹介する(注1)。
2021年1月に発効した日英包括的経済連携協定(EPA)(注2)の利用状況については、日本から英国への輸入で「利用している」と回答した在英企業の割合が約5割を占めた。また、2021年5月に正式発効した、英国とEUの通商・協力協定(TCA)については、英国・EU間で輸出入を行う企業のうち、英国からEUへの輸出で25.0%、EUから英国への輸出で10.4%の企業が「利用している」と回答した。
日英EPA利用の課題は「自己証明制度の手続き」が最多
日英EPAの利用に当たっての課題は、「自己証明制度の手続き」が45.7%と最多で、「社内体制の整備」(40.0%)、「サプライヤー/取引先との協力体制整備」(31.4%)が続いた。日英EPAの発効後間もないことから、日英EPAに適応した手続き・体制の整備段階にある企業が多いとみられる。また、在英日系企業の日本からの調達割合の平均値は39.1%で、日英EPA発効前の前年調査から3.6ポイント増と伸長した。
英国・EU間で輸出入を行う企業は「通関手続きの発生」と「物流の遅れ」に懸念
英国・EU間で輸出入を行う企業の具体的な問題として、輸出入ともに「通関手続きの発生」と「物流の遅れ」を挙げる在英・在EU企業が多かった。
英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う移行期間終了後のビジネス環境上の懸念として、在英企業の4割が「英国の規制・法制の変更」と「英国での人材確保」を挙げた。「英国の規制・法制の変更」に関する具体的な懸念事項については、在英日系企業では「個人データ保護に関する規則」が53.5%で最も高かった。製造業では、在英・在EUともに「CEマーク/UKCAマーク」と回答する企業が多かった。
(注1)「2021年の黒字見込み企業は66%(2022年1月18日記事参照)」、「5割超がグリーン化投資支援策の利用に関心あり(2022年1月18日記事参照)」、「7割がサプライチェーンの人権を経営課題と認識(2022年1月18日記事参照)」も参照。
(注2)日英EPAについては「特集 日英包括的経済連携協定(EPA)について」参照。
(菅野真)
(英国、EU、日本)
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