日本がベトナムに新型コロナワクチン供与、約100万回分が到着

(ベトナム)

ハノイ発

2021年06月18日

日本政府がベトナムに無償供与した新型コロナウイルスのワクチン約100万回分が6月16日夜、ハノイのノイバイ空港に到着した。日本で製造された英国アストラゼネカのワクチンで、グエン・タイン・ロン保健相によると、17日朝にホーチミン市に輸送され、南部地域での接種に活用されるという。

ベトナム政府は2021年内に人口の75%ほどが2回の接種を完了できるよう、1億5,000万回分のワクチン調達を目指しており、ワクチン基金を立ち上げるなど奔走している(2021年6月11日記事参照)。累計接種回数は16日までに約177万回で、人口に対する接種割合は1%台とみられ、2回の接種を完了した人は約7万人、人口の0.1%以下にとどまる。医療従事者をはじめ、軍・公安関係者、教員、高齢者などを対象に優先的に接種されており(2021年2月25日記事参照)、5月以降は感染地域を中心に工業団地の労働者への接種も進んでいる。

ベトナムは感染の抑え込みに成果を上げてきたが、2021年4月末に発生した第4波により、北部のバクザン省やバクニン省、南部ホーチミン市を中心に感染が拡大している(2021年5月25日記事参照)。ベトナムの累計感染者数は6月17日午前時点で約1万1,700人だが、そのうち第4波による感染者が7割以上を占める。

ベトナム政府は日本の支援歓迎

日本からのワクチン供与について、ファム・ミン・チン首相は6月15日、山田滝雄駐ベトナム大使と会談した。山田大使は、今回のワクチン供与は日本とベトナムの深い友情の証しと強調した。また、在ベトナム日系企業36社がワクチン基金に392億ドン(約1億9,600万円、1ドン=約0.005円)を寄付しており、今後も寄付額は増えるとの見解を示した。チン首相は、日本の支援に対し、ベトナム政府と国民を代表して謝意を表明した。また、今後の日本との連携について、ワクチン生産技術の移転支援のほか、ベトナム産果物の日本への輸出促進、日本在留ベトナム人への支援など、さらなる協力を求めた。

(庄浩充)

(ベトナム)

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