金融監督庁、ビットコインスイスに銀行免許を与えず
(スイス)
ジュネーブ発
2021年03月25日
スイス金融市場監督庁(FINMA)は3月17日、暗号資産取引所ビットコインスイス(本社:ツーク州)に対し、現在の情報に基づいて、申請された銀行免許が現段階では承認される見通しが低いと通知したことを発表した。これを受けて、ビットコインスイスが申請を取り下げたため、FINMAは審査を停止した。
FINMAは2019年8月に、SEBAクリプト(本社:ツーク州)とシグナム(本社:チューリヒ州)に暗号資産を用いた銀行・証券業免許を承認しているが(2019年8月30日記事参照)、3社目となるビットコインスイスが2019年に行った申請については却下するかたちとなった。FINMAの発表によると、同社のマネーロンダリング対策などに不備がみられるとのこと。
最近、スイス・クリプトバレー(注)の成長が著しい。投資会社クリプトバレー・ベンチャーキャピタルが2021年2月に発表した「クリプトバレートップ50」(2020年下半期)によると、上位50社の評価総額は約2,549億ドルと、2020年上半期時点の評価総額375億ドルから7.8倍に急増している。クリプトバレーに拠点を構える企業数も960社となった。また、クリプトバレーのユニコーン企業(時価総額10億ドル以上のスタートアップ)は、ビットコインに次ぐ時価総額を誇る、暗号資産の流通プラットフォームを提供するイーサリウム(1,572億ドル)や、フェイスブックが提案する暗号資産のディエム(10億ドル、2020年12月9日記事参照)など、11社に増加した。
ビットコインの価格が2月16日に初めて5万ドルを超えたことが報道されているが、ビットコインの評価額が1年で5倍以上増加したことに代表されるように、「新型コロナ禍」での緩和資金が、暗号資産市場の急拡大を支えている。
(注)ツーク州を基盤に、スイスとリヒテンシュタインに広がるブロックチェーン企業の集積のこと(2020年1月31日記事参照)。
(和田恭)
(スイス)
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