4度目の非常事態宣言を発令、移動制限などを強化

(チェコ)

プラハ発

2021年03月02日

チェコ政府は2月26日、新型コロナウイルス感染症、特に英国変異株の感染拡大による状況の悪化に鑑み、4度目の非常事態宣言を発令した。当初、政府は2月28日を期限とする非常事態宣言の延長を下院に提案していた。しかし当該非常事態宣言が、その前の非常事態宣言の延長を下院が否決した後、州知事連盟の要請をもとに発動された(2021年2月16日記事参照)点について、上院議員団が憲法裁判所に違憲審議を求めたことから、憲法違反判決により撤廃という事態を避けるため、下院は政府に対して新たな非常事態宣言の発令を促した。これにより、2月27日から30日間有効の、4度目の非常事態宣言が発動された。

政府は同時に、3月1日付で以下に挙げる緊急措置の強化を決定した。

○移動制限

  1. これまで3県で施行されていた県境を越えた移動の禁止(2021年2月16日記事参照)を全県に拡大。通勤、医療機関などの訪問、必要不可欠な家族・近親者訪問などは例外的に許可されるが、これら理由を証明する宣言書の携行が必要。
  2. 夜間外出禁止時間(午後9時~翌日午前5時)以外の外出についても、県境を越えない移動であっても原則として禁止。ただし、公園や屋外スポーツ施設などの利用の場合(この場合は居住地の市町村内でのみ可)、生活必需品確保、あるいは通勤など上述1.で挙げた理由がある場合などは除く。なお、夜間外出禁止令(2021年1月13日記事参照)は引き続き有効。

○マスク着用義務

  1. 屋内と屋外市街地での防護用マスクあるいは医療用マスク着用を完全義務化。屋外に関しては、同一世帯以外の人と2メートル以上の距離を維持できない場合のみ着用義務があるとした条件を撤廃(2021年2月25日記事参照)。
  2. 上記1.の例外が適用される職場について、個室など従業員が1人のみの場所に限定。
  3. 店舗、公共交通機関などの特定場所でのマスク着用義務について、防護用マスクのみ使用を認める。これまで認められてきた医療用マスク2枚重ね使用は禁止(2021年2月25日記事参照)。なお、2.に鑑み雇用者は、業務上、他人と接触する従業員に対して、各自のシフトをカバーするのに十分なマスクの分量を支給する義務が課される。

○小売り・サービス営業制限

  • 営業が許可されていた文房具店、子供用衣類販売店、クリーニング店、自動車修理・部品販売店などの営業を禁止。

○通学制限

  • これまで例外的に登校が許可されていた幼稚園、初等教育課程の低学年、特殊学校の通学を禁止。

(中川圭子)

(チェコ)

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