地域間交流支援(RIT)事業および地域貢献プロジェクトで32件を採択

2019年06月11日

地域主導の中小企業を中心とした海外展開による地方創生に貢献

ジェトロは、中小企業の海外展開支援に向け地域主導で取り組む事業として「地域間交流支援事業(Regional Industry Tie-Up Program : 以下、RIT事業)」および「地域貢献プロジェクト」を実施しています。今年度(2019年度)、新規案件31件(RIT事業6件、地域貢献プロジェクト25件)を採択、継続支援案件の1件(RIT事業)と合わせ、合計32件を支援します。

「RIT事業」は、地域に集積する中小企業群と海外の企業群とのビジネス交流を促進する事業です。海外の特定地域との密な交流を支援し、より精度の高い商談機会を継続的に提供します。今年度、新たに5件(東北:1件、関東・甲信越:2件、関西:1件、九州:1件)、事前調査事業1件(関西:1件)の合計6件を採択しました。継続支援案件1件(中部)と合わせ、計7件の案件を支援します。
(※)事業申請前の準備段階として、地域間のビジネス交流の可能性について単年度で調査する事業。

RIT事業新規案件
No. 交流地域 対象事業・分野
1 福島県-タイ王国・バンコク都 医療福祉機器関連分野
2 神奈川県相模原市-カナダ・オンタリオ州 ロボット関連産業(機械/ICT)
3 山梨県-ドイツ西部 機械電子産業(蓄電池、水素・燃料電池関連分野)
4 大阪府-米国・カリフォルニア州 ライフサイエンス
5 福岡県北九州市-中国・上海地区 環境

「地域貢献プロジェクト」は、ジェトロの国内22事務所が自治体や地域の関係団体等と連携し、地域経済の活性化や課題解決に貢献するプロジェクトです。海外販路拡大やブランド構築等のため、バイヤー・業界関係者の招へいや海外ミッション派遣など様々な事業ツールを効果的に組み合わせ地域単位で海外展開支援を実施します。今年度25件(北海道:1件、関東・甲信越:3件、中部・北陸:5件、関西:9件、中国:3件、九州:4件)を支援します。

地域貢献プロジェクト25件(*)は農商工連携
No. ジェトロ事務所 案件名 海外対象・地域
1 北海道 北海道羊蹄地域の輸出拡大・海外経済交流(*) EU、オーストラリア、東南アジア
2 群馬 ヴィーガン食材の宝庫・群馬ブランド確立プロジェクト(*) 米国、オーストラリア、EU
3 新潟 農商工連携を軸とした新潟県産品ブランド浸透プロジェクト(*) マレーシア、ベトナム
4 富山 富山農商工連携型地域ブランド・欧州展開支援事業(*) イタリア、フランス
5 富山 医薬品ビジネス展開支援事業 スペイン
6 金沢
(北陸、東海)
炭素繊維分野における産業交流および海外展開支援 ドイツ
7 山梨 ジュエリー海外販路開拓支援事業 タイ・バンコク
8 岐阜 「Gifu Select」ウェブサイトによる岐阜県産品の海外販路拡大プロジェクト EU(フランス、スペイン、イタリア)
9 浜松 産学官金が支える国際的な光・電子産業クラスター計画 EU(ドイツ等)、米国
10 大阪 「いいもん!うまいもん!大阪産(おおさかもん)」海外販路開拓プロジェクト(*) マレーシア、中国、フランス
11 三重 ガストロノミー産業交流プロジェクト(*) スペイン・バスク地域
12 滋賀
(大阪)
関西水環境ビジネスの海外展開加速化プロジェクト 東南アジア、中国、インド
13 京都 米国MA州・ボストン市とのライフサイエンス産業交流 米国・マサチューセッツ州
14 京都 伏見SAKEツーリズム(*) フランス
15 京都 スマートシティの深化に繋がる新産業 スペイン(バルセロナ)・EU
16 神戸 ひょうご観光×ものづくり産業連携プロジェクト (*) 東南アジア
17 奈良 奈良県靴下ブランドEU販路開拓プロジェクト フランス、イタリア等EU地域
18 和歌山 和歌山県産果樹・加工食品等の販路開拓プロジェクト(*) オーストラリア
19 岡山 日本酒&雄町米農家&備前焼「Quality Okayama」販路開拓プロジェクト(*) オーストラリア、チェコ
20 広島
(長野、静岡、岡山、福岡、大分)
地域連携の枠組みを活用したイノベーションの創出 米国・シリコンバレー
21 山口 山口県食材のブランド構築・海外販路拡大(*) シンガポール
22 福岡
(佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島)
九州酒類の市場開拓・プロモーション支援 EU、RCEP対象国、米国
23 佐賀 佐賀県産品の業界横断型市場開拓・プロモーション支援事業(*) 米国、EU、RCEP対象国
24 熊本 医療・福祉機器産業交流プロジェクト ドイツ・ハイデルベルク
25 宮崎 欧州シェフ向け九州食材提案プロジェクト ドイツ、ベルギー

2019年度 支援の特徴

1. 農商工連携による取り組みを支援

「地域貢献プロジェクト」 25件のうち、12件において、農・商・工の垣根を越え、地元関係者の連携による取り組みを支援します。それぞれの強みを活かした農商工分野の連携により、地域全体で取り組むことで効果的なブランディングが可能となり、地域産品の効果的な海外展開につながります。

【例】地域貢献プロジェクト

ヴィーガン食材の宝庫・群馬ブランド確立・海外販路開拓プロジェクト
ヴィーガン(動物由来のたんぱく質を摂取しない厳格な採食主義)向けの食材(こんにゃく、豆腐、梅、野菜等)が豊富に産出される群馬県を「ヴィーガン食材の宝庫」とブランディングし、群馬県産ヴィーガン食材の認知度向上を図ります。米国、オーストラリア、欧州等のレストラン等ではヴィーガンメニュー・レシピ開発により、PRイベント・試食会・商談会を開催し、群馬県産ヴィーガン食材の輸出促進を図ります。また、2020年のオリンピック・パラリンピックで多くのヴィーガンの来日が想定されることから、その機を捉えて、インバウンド需要の取り込みと、さらなる輸出拡大を図ります。
佐賀県産品の業界横断型市場開拓・プロモーション支援事業
農商工連携による県内企業の輸出への関心喚起、輸出増加への期待が高まる状況を背景に、佐賀県を代表する農産品・伝統産品(焼き物、家具等)の海外販路開拓を目指します。県内の食品分野のみならず、伝統産品分野も含み、「佐賀県」全体としてのPRを通じて、新たな海外展開企業の発掘にもつなげます。

2. 地域の枠組みを超えた広域連携で海外にアピール

国内の複数の地域が連携することで、海外のバイヤーや事業相手となる地域に対し、単独地域の場合よりも強力なアピール、一定のインパクトを与えることが可能となり、より効果的、効率的な成果が期待されます。県等の枠組みを超えてより広域な「地域」が一体となり、海外展開に取り組みます。

【例】地域貢献プロジェクト

  • 炭素繊維分野における産業交流および海外展開支援(金沢、北陸、東海)
  • 関西水環境ビジネスの海外展開加速化プロジェクト(滋賀、大阪)
  • 地域連携の枠組みを活用したイノベーションの創出(広島、長野、静岡、岡山、福岡、大分)
  • 九州酒類の市場開拓・プロモーション支援(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島)

3. 地域の製品・技術の海外展開支援

各地域の特色ある中小企業の海外販路開拓や技術提携、共同開発を支援します。ミッション派遣、招聘などにより技術提携、共同製品開発等の成果を生みだし、地域産業の活性化に貢献します。

【例】RIT事業

福島県-タイ王国・バンコク都(医療福祉機器関連分野)
医療関連産業の集積のある福島県とタイ王国との医療関連産業クラスターとのビジネス交流を行います。タイ王国の医療関連企業等との技術提携や共同開発等の交流を通じ、製品開発の促進や医療技術の向上に寄与するとともに、医療機器製品・部材・技術のタイ王国やASEAN地域との取引拡大につなげます。
山梨県-ドイツ西部(機械電子産業(蓄電池、水素、燃料電池関連分野等))
水素・燃料電池関連分野の一大産業集積地「やまなし水素・燃料電池バレー」の実現に向けた取り組みの一環として、山梨県とドイツのNRW州エネルギー・エージェンシーとのビジネス交流を行います。ドイツ企業との連携により、県内企業の技術・製品の海外販路拡大や共同研究による開発促進につなげます。

【例】地域貢献プロジェクト

奈良県靴下ブランドEU販路開拓プロジェクト
奈良県の靴下産業は100年の歴史を持ち、日本での生産量は全国一位を誇ります。同産業はグローバル市場でトップレベルの品質基準や伝統的で高い製造技術やノウハウを持ち、履き心地を追及した高付加価値商品を展開しています。高い技術力や優れたデザイン性を持つ奈良ブランドの認知度を高め、靴下産業の海外販路拡大を目指し、協同組合として発足させた「The Pair」ブランドの海外販路開拓に取り組みます。

ジェトロ地方創生推進課(担当:石田、片岡、新宮、岸)
Tel:03-3582-5314