ドイツとオランダの水素輸入で価格差支援するH2グローバルが2回目の入札を開始

(ドイツ、オランダ)

ベルリン発

2025年02月26日

ドイツおよびオランダの水素(派生製品を含む)の輸入における供給側と需要側の水素の価格差に対して支援を行うH2グローバル(2022年12月12日記事参照)は2月19日、2回目の入札を開始した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

H2グローバルの枠組みでは、H2グローバル財団の子会社Hintcoが、各国政府などからの予算を財源として、入札によって最長10年契約で水素を購入した上で、この水素をさらに入札によって1年間の短期契約で販売する、ダブルオークション制を採用(2021年6月23日記事参照)。今回の入札は水素の購入に係る入札の2回目だ。なお1回目の入札は、ドイツ政府の予算をもとに、グリーン水素の派生製品であるアンモニア、メタノール、持続可能な航空燃料(SAF)を対象に行われた。このうち、アンモニアは契約締結されたものの(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2024年7月17日記事参照)、SAFは不落となり(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、メタノールは最後の調整が継続している。

2回目の入札は、パイロット事業として位置づけられた1回目の予算額9億ユーロから規模が拡大しており、全体で25億ユーロの予算が割り当てられ、新たに次の2つの柱で実施される。

(1)地域入札枠(Regional Lot)

  • アフリカ、アジア、北米、南米・オセアニアの4つの地域からのドイツによる輸入が対象
  • 購入期間は、2028年から2036年まで
  • ドイツ政府が、各地域からの輸入に対して、それぞれ4億8,400万ユーロを割り当て
  • 対象物はRFNBO(Renewable fuels of non-biological origin、非バイオ由来の再生可能燃料)で、具体的には最終製品としての水素、アンモニア、メタノールが対象

(2)グローバル入札枠(Global Lot)

  • あらゆる地域からの、ドイツまたはオランダへの輸入が対象
  • 購入期間は、2028年から2036年まで
  • ドイツ政府とオランダ政府が、合計で最低5億6,700万ユーロを割り当て
  • 対象物はRFNBOで、具体的には最終製品としての水素が対象。水素キャリア(水素を液体や水素化合物などに変換して運搬する方法)は問わない

H2グローバルでは今後も複数の入札を予定

ドイツ政府とカナダ政府は、H2グローバルを活用した2国間入札に対して総額6億ユーロの資金提供で合意している。また、ドイツ政府とオーストラリア政府も、同様に最大6億ユーロの資金提供で合意している。加えて、ドイツ政府は、欧州域内で製造されたRFNBOの調達におけるH2グローバルの活用についても欧州委員会に申請を行っているとされる。

このほかにも、H2グローバル財団は、日本〔エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、東京都、水素バリューチェーン推進協議会〕やインド(インド太陽エネルギー公社:Solar Energy Corporation of India)とも覚書(MOU)を締結するなど活動地域を積極的に拡大しており、今後の動向が引き続き注目される。

(日原正視)

(ドイツ、オランダ)

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