ホンダの米EVハブ、2025年の始動に向け10億ドルで設備を一新
(米国、韓国)
ニューヨーク発
2025年02月13日
ホンダは2月3日、米国オハイオ州を拠点とする電気自動車(EV)ハブへの追加投資と、設備を一新した上での「柔軟な」EV生産体制の構築を発表した。
ホンダは2021年4月、2050年までに製品と事業からの二酸化炭素(CO2)排出量をネットゼロとし、2040年までにグローバルでバッテリー式電気自動車(BEV、注1)および燃料電池車(FCV)の販売割合を100%にする計画を発表。オハイオ州の既存の3工場(メアリーズビル組立工場、イーストリバティ組立工場、アナエンジン工場)をホンダEVハブと位置づけた(2022年10月18日記事参照)。
今回ホンダはEVハブへの投資額を、当初の7億ドルから10億ドル以上に増額し、生産ラインを組み換え、内燃機関(ICE)、ハイブリッド車、BEVを同じラインで製造できる柔軟な生産体制を構築する。EV生産を進める一方で、政権交代などにより先行きが不透明な市場に備えるとみられる。設備の刷新には、メアリーズビル組立工場でのラインの組み換えのほか、バッテリー組み立てゾーンの設置や、同社初となるCDC溶接(注2)の採用などが含まれる。アナエンジン工場では、バッテリーケースなどの鋳造用に、6,000トンの高圧ダイカストマシン6台を設置するなど量産にも対応する。ホンダ・デベロップメント・アンド・マニュファクチャリング・オブ・アメリカのボブ・シュウィン上級副社長は「これはホンダにとって第二の創業だと考えられている。われわれはこの機会を利用して製造へのアプローチを再構築する」と述べた(CNBC2月2日)。
BEVの生産に関しては、当初の計画に基づき、2025年後半から新型アキュラのスポーツ用多目的車(SUV)「RSX」の生産を開始した後、2025年1月に米国の先端技術見本市(CES)で発表したBEVシリーズの「ホンダ0(ゼロ)」サルーンとSUVのプロトタイプをベースにした量産モデルの製造を開始する予定だ(2025年1月10記事参照)。バッテリーに関しても、当初の予定どおり、オハイオ州ファイエット郡に設立予定の、LGエナジーソリューション(LGES)との合弁バッテリー工場であるL-Hバッテリーカンパニーに35億ドルを投資する。年間生産能力は約40ギガワット時(GWh)で、2025年後半に生産を開始する。
CES2025で展示された「ホンダ0」サルーン(ジェトロ撮影)
モーターインテリジェンスによると、2024年のホンダの米国における生産台数は101万台。販売台数は、乗用車「シビック」やSUV「CR-V」、BEV「プロローグ」が好調で、前年比8.8%増の142万台となった。
(注1)ホンダは「EV」と表記。
(注2)従来では不可能だった超ハイテンを含む3枚重ねの接合を可能とする、世界初のインバーター技術を応用したスポット溶接技術のこと(ホンダのウェブサイト参照)。
(大原典子)
(米国、韓国)
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