トルコ、イスラエルとの貿易を全て停止すると発表

(トルコ、イスラエル、パレスチナ、アゼルバイジャン)

イスタンブール発

2024年05月07日

トルコ貿易省は5月2日、X(旧Twitter)で、「イスラエル政府が(パレスチナ自治区)ガザ地区への十分な人道援助の継続した流入を認めるまで」、イスラエルとの全品目の輸出入を停止すると発表した。

トルコはすでに4月9日付で、鉄鋼やジェット燃料、建設機器、化学肥料など54の品目グループについて、イスラエルへの輸出制限措置を実施しており(2024年4月11日記事参照)、今回の決定はパレスチナの「悲劇が悪化した」ことを受けての「第2段階」としている。

貿易省は、パレスチナ人が今回の措置の影響を受けないように、パレスチナ側と必要な調整が行われるとしているが、本件に関するするトルコ政府の公式発表は行われていない。

なお、2024年第1四半期の貿易外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、トルコのイスラエルへの輸出は前年同期比21.7%減の12億820万ドルで、国別では13位、輸入は同21.5%減の4億2,900万ドルで32位だった。また、トルコを経由したアゼルバイジャン産石油のイスラエルへの輸出が継続されるか否かも注視されている。

3月31日に行われたトルコの統一地方選挙において躍進したイスラム系の新福祉党(YRP)が、与党・公正発展党(AKP)との協力(決裂)条件の1つとして、イスラエルとの貿易全面禁止を求めていた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますこともあり、今回の措置が、地方選挙での実質的敗北(2024年4月3日記事参照)を受けたイスラム保守層の取り込みといった内政上の戦略にもつながるとみられている。トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は、4月24日のドイツのフランク=バルター・シュタインマイヤー大統領との共同記者会見の中で、エルドアン大統領は「イスラエルとの緊密な通商関係はもはや維持できない」と述べた。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(中島敏博)

(トルコ、イスラエル、パレスチナ、アゼルバイジャン)

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