中国商務部、米国301条調査開始と追加関税率引き上げ検討に反論

(中国、米国)

北京発

2024年04月26日

中国商務部は4月17日と18日、米国が中国に対する新たな制限措置を発表したことに反論した。

米国通商代表部(USTR)による中国の海事・物流・造船分野への調査開始の発表(2024年4月18日記事参照)に対し、商務部は17日に「強烈な不満と断固とした反対」を表明した。

商務部は「米国の申請は事実無根な非難に満ち、正常な貿易・投資について米国の安全と企業の利益を損なう活動と曲解し、自国産業の問題を中国に転嫁している。事実に基づかず、経済常識に反している」と批判した。また、米国は自国産業に数千億ドルの差別的補助金を提供しているにもかかわらず、中国が「非市場的行為」を採用していると非難しているとし、中国の産業発展は企業の技術革新と市場競争への積極的参与の結果だと主張した。さらに、ドナルド・トランプ大統領時代の301条調査などがWTO協定違反とされたこと(2020年9月18日記事参照)を取り上げ、「国内の政治的需要により、新たに301条調査を開始するのは再び同じ過ちを犯すことだ」と指摘した。

米国が中国の鉄鋼・アルミニウム製品に対して追加関税率を3倍に引き上げる検討など(2024年4月18日記事参照)について、商務部は18日に「中国に対する米国の非難は根拠がなく、関連措置は典型的なユニラテラリズム(一国主義)と保護主義だ」として、中国は断固として反対すると反論した。

さらに、商務部は「米国による中国に対する制限措置は、米国の国内産業が直面している問題の解決にはならない。中国製品を制限するよう米国が他国に圧力をかけることは、グローバル産業チェーン・サプライチェーンの安全・安定を破壊することになる」と指摘した。

米国に対して「ルールに基づく多角的貿易体制に立ち戻り、自国の問題を直視し、中国製品に対する関税引き上げや対中追加関税措置を直ちに取りやめるべき」ともした上で、「中国は調査の進展を注視し、必要なあらゆる措置を講じて、自国の権益を断固として守る」と強調した。

4月18日の「環球網」の社説では、「中国はこれまで、対外開放を拡大し続ける中で経済の飛躍を実現し、これからもこの道を着実に前進する。中国と米国は世界最大の2つの経済体として、相互尊重・平等互恵の基礎の上で、共同でグローバル産業チェーンの安定を維持し、世界経済の成長を推進すべきだ。われわれは米国政府に対し、中国の製造業の発展成果を直視し、グローバル化のルールと発展方向を尊重し、301条調査を停止することが第一歩だと呼びかける」と解説した。

(蔣春霞)

(中国、米国)

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