富士フイルム、米ノースカロライナ州のバイオ医薬品製造施設に12億ドルの追加投資
(米国、日本)
アトランタ発
2024年04月16日
富士フイルムは4月11日、子会社のフジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)が米国ノースカロライナ州ウェイク郡に建設中の大規模細胞培養CDMO施設(注1)へ12億ドルの追加投資を行うと発表した。今回の追加投資により、投資総額は32億ドル超となる。2031年までに680人を追加で雇用し、同施設での新規雇用の合計は約1,400人となることが見込まれている。
同社は2021年3月に20億ドルを投じた同施設の設立を発表しており、2万リットルのバイオリアクターを8基設置し、2025年春の稼働開始を予定している(2021年3月23日記事参照)。今回の追加投資により、2028年までに2万リットルの動物細胞培養のバイオリアクターを8基追加する予定で、完成時には北米最大級の細胞培養バイオ医薬品CDMO施設となる見込みだ。
また、今回の追加投資には、二酸化炭素(CO2)排出を実質的にゼロにするための取り組みも組み込み、再生可能天然ガス(注2)や敷地内の太陽光発電、仮想売電契約による年間12万5,000メガワット時(MWh)の太陽光発電由来の電気の利用により、操業に必要とされるエネルギーを全て賄う予定だ。新施設はLEEDゴールド認証(注3)の取得を目指している。
今回の大規模追加投資発表は、岸田文雄首相が4月8日からの米国公式訪問の一部として、ノースカロライナ州を訪問した日に行われた。同州のロイ・クーパー知事(民主党)は「ウェイク郡でのFDBの事業拡大によって新たな雇用が創出されたことは、ノースカロライナ州と日本の経済関係の繁栄を示す新たな一例であり、継続的な投資に感謝している」と述べた。
富士フイルムが新施設を建設するウェイク郡は、同州中央部に位置するリサーチ・トライアングル・リージョンと呼ばれる地域に属している。同地域はライフサイエンス関連企業を中心に集積が進んでおり、アステラス製薬や協和キリンも投資を発表している(2022年11月30日、2022年6月20日、2024年3月4日、2024年3月28日付地域・分析レポート参照)。
(注1)薬剤開発初期の細胞株開発から生産プロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを製薬企業などに提供する。
(注2)化石天然ガスの代替使用のために改良されたバイオガスのことで、埋め立て地などで発生するガスを供給源とする(4月12日富士フイルムプレスリリース)。
(注3)米国グリーンビルディング協議会(USGBC)が実施している建物の環境性能を評価する認証制度。
(横山華子)
(米国、日本)
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