新首相にハリス氏就任、アイルランド史上最年少の37歳
(アイルランド)
ロンドン発
2024年04月11日
アイルランド下院は4月9日、新首相を決める投票を実施し、連立与党の中道右派・統一アイルランド党のサイモン・ハリス党首を選出した。同国史上最年少の37歳での首相となった。
新首相投票はレオ・バラッカー首相の突然の辞任(2024年3月22日記事)を受けて行われた。バラッカー氏は2020年6月の共和党、統一アイルランド党、緑の党による政権連立時に合意した、2022年12月に統一アイルランド党党首を首相にするという取り決めに基づいて首相に就任した(2022年12月22日記事、2020年7月1日記事参照)。バラッカー氏の辞任後、統一アイルランド党党首選の唯一の候補者で党首に就任していたハリス氏が下院での賛成88、反対69という投票結果で首相就任が決定した。
報道によると、ハリス氏は16歳で統一アイルランド党青年部に加入後、2011年に24歳で下院議員に当選し、保健相、教育相を歴任している。保健相時代には、人工妊娠中絶を合法化させたことや、新型コロナウイルスに対する初期対応のかじ取りをしたことで知られている。
ハリス新首相は就任演説で「信頼に応えるため全力で使命を果たす」「謙虚な気持ちや挑戦する覚悟で、エネルギーと決意に満ちてこの役割を引き受ける」などと述べた。アイルランドの深刻な住宅不足や医療サービス待機者の解消など、逼迫した問題に直面することになるが、より多くの住宅建設に力を入れると同時に、中所得者への減税、中小企業や農家への支援も表明した。また、同氏の政権下ではパレスチナ国家の承認(recognition)が予定されているという点で注目を浴びている(「アイリッシュ・タイムズ」紙4月10日)。
一方、調査会社アイルランド・シンクスが実施した世論調査によると、統一アイルランド党の3月下旬の支持率は21%で、4年前の最高支持率を15ポイント近く下回っている(「フィナンシャル・タイムズ」4月8日)。同国では2025年3月までに総選挙が実施される見込みなことから、党の支持率回復に向け、限られた時間で課題解決へ導く手腕が問われることになる。
(松丸晴香、尾関康之)
(アイルランド)
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