米商務省、人権侵害への加担などで外国事業体2社を輸出管理対象に追加

(米国、中国、カナダ、インド、日本、マレーシア、スウェーデン、アラブ首長国連邦)

調査部米州課

2024年02月27日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は2月26日、人権侵害への加担などを理由に外国事業体2社の合計7拠点を輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティー・リスト(EL)に追加したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2月27日付の官報で公示PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)され、同日付で有効となっている。

ELとは、米国政府が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある」と判断した団体や個人を掲載したリストで、それらに米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、BISの事前許可が必要となる。

BISが今回追加した2社の一方は、カナダに本拠を置くソフトウエア企業のサンドバインで、カナダ本社に加えて、インド、日本、マレーシア、スウェーデン、アラブ首長国連邦(UAE)の合計6拠点が輸出管理対象となった。外国政府に対してオンライン検閲用の技術を提供し、それがニュース報道の規制や、政治活動家および人権活動家の監視に利用されているとの理由に基づく。もう一方の事業体は、中国に拠点を置くエレクトロニクス企業(Chengdu Beizhan Electronics)で、既にEL掲載済みの事業体のために、米国製品の入手、および入手を企てた理由で追加された。

商務省で輸出管理を所管するアラン・エステベス次官は「本日の措置は、民生用技術が検閲や監視、抑圧など、われわれの価値観に反することに利用されないことを確実にするためにはちゅうちょしないことを示すものだ。また、EL掲載済みの事業体に製品をわたそうとする事業体に対しても、われわれは行動を取っていく」との声明を出している。商務省は2023年3月に、人権保護を輸出管理政策の目的に含む方針を明確化している(2023年3月29日記事参照)。また、国務省は有志国とともに「輸出管理と人権イニシアチブ(ECHRI)」を立ち上げており、2023年3月には行動規範を発表している(2023年3月31日記事参照)。今回の措置はこれらバイデン政権の取り組みの下での、具体的な動きの一つと捉えられる。

(磯部真一)

(米国、中国、カナダ、インド、日本、マレーシア、スウェーデン、アラブ首長国連邦)

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