COP28、「損失と損害」基金の運用開始へ

(アラブ首長国連邦、世界、日本)

ドバイ発

2023年12月08日

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28、2023年12月1日記事参照)で11月30日、気候変動の悪影響に伴う「損失と損害」(ロス&ダメージ)基金の運用への合意が発表された。

基金は、気候変動の影響を大きく受ける経済基盤や社会インフラが脆弱(ぜいじゃく)な途上国が対象で、今回の合意に基づいて具体的な運用ルールが決められる。基金は最初の4年間は暫定的に世界銀行が運営。先進国による資金の拠出は義務化されていないものの、任意での拠出を促している。これを受け、議長国UAEが1億ドル拠出を表明したのをはじめ、ドイツも1億ドル、日本は1,000万ドルの拠出の意向を表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますほか、英国(2023年12月4日記事参照)、米国、EUなども同基金への拠出を発表し、12月4日時点では合計で7億2,500万ドルと発表されている。

COP28の議長を務めるスルターン・ビン・アフマド・スルターン・アール・ジャーベルUAE産業・先端技術相兼アブダビ国営石油会社(ADNOC)最高経営責任者(CEO)は、前回のCOP27で基金設立が合意されてから1年で運用開始にこぎつけたことは前例のないものだと述べた(2023年12月1日記事参照)。「損失と損害」(ロス&ダメージ)基金の設立については前回のCOP27で合意され、これまで具体化に向けて議論されてきた。今回のCOP28で国連専門委員会がまとめた勧告案が採択された。

(清水美香、久保田夏帆)

(アラブ首長国連邦、世界、日本)

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