インフレ率高止まりの中、一部食品は価格下落傾向も
(バングラデシュ)
ダッカ発
2023年11月15日
バングラデシュ統計局(BBS)は10月の消費者物価指数(CPI)上昇率を9.93%と発表した。食品セクターのインフレ率は8月以降、都市部と農村部いずれも12%台で高止まりする中、産業全体でみると、農村部は9.99%(前月比0.24ポイント増)に達しており、都市部(9.72%)よりもやや高い記録となった。
商務省傘下のバングラデシュ貿易公社(TCB)の発表(11月5日付)によると、ジャガイモ(1キログラム)は48~60タカ(約66~82円、1タカ=約1.37円)で、10月5日時点から27.1%(前年比96.4%)の値上がり、タマネギ(外国産、1キログラム)の市場価格は90~110タカで同42.9%(前年比81.8%)の値上がりと、顕著に価格が上昇している。他方、大豆油(前月比2.6%減)や小麦粉(同7.4%減)は減少傾向(2023年9月13日記事、10月13日記事参照)が続いている(添付資料表参照)。
インフレ圧力が続く中で政府は価格高騰を抑えるため、ジャガイモ、鶏卵、タマネギの市場での固定価格導入の方針を9月に打ち出したものの(「フィナンシャル・エキスプレス」紙10月25日)、依然として実行されていない。具体的な方策もいまだ発表されておらず、中間業者などによる過度な価格上乗せを許認しているとの見方も報じられている。
他方、ジャガイモについては供給力を高めるため、政府主導によって11月2日、5日の2日間で計1,166トンが北西部ヒリの陸路国境、518tが同じく北西部ショナマスジッド陸路国境(2023年8月1日付地域・分析レポート参照)を通じてインドから輸入され、国境近くの市場では価格低下がみられるという(「フィナンシャル・エキスプレス」紙11月5日)。鶏卵についても市場価格に減少圧力をかけるため、政府主導によって約2億個の鶏卵を輸入する計画が打ち出され、一部は輸入決済のめども付いていたが、33%という高率の関税によって国内産の鶏卵に対して価格競争力に欠けることや、政府が輸入者に義務付ける鳥インフルエンザの非感染証明の提出が実質的に困難なことなどから、まだ実現していないことが報じられている(「フィナンシャル・エキスプレス」紙10月15日、11月6日)。
バングラデシュでは総選挙を控え、縫製産業を中心に一部の工場集積地や企業で労働者による賃上げ要請の動きも発生する中、インフレの動向も引き続き注視される。
(山田和則)
(バングラデシュ)
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