中国外交トップ、バイデン大統領など米政府高官と会談、首脳会談実施へ

(中国、米国)

北京発

2023年10月31日

中国外交トップの王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)は米国の首都ワシントンを訪問し、現地時間10月27日にジョー・バイデン大統領と会談した(注1)。

王外相は、今回の訪問目的は米国と意思疎通を行い、両国首脳の重要合意を着実に実施して「バリ島に立ち戻るという基礎の上で、サンフランシスコに向かう」(注2)ことで、両国関係の悪化を防ぎ安定させ、一刻も早く健全で安定した発展ルートに戻すことだとした。

その上で、両国関係にとって「一つの中国」原則と中国・米国の3つの共同コミュニケ(注3)が最も重要とした上で、米国が対中関係の安定と改善を求めていることを重視するとした。

中国側の発表によると、バイデン大統領は対中関係を重視するとした上で、米国は中国と意思疎通を続け、ともにグローバルな課題に対応することを願うとした。

王外相は26~27日にはアントニー・ブリンケン国務長官とも会談した。双方は、サンフランシスコでの首脳会談実現に向けてともに努力することに同意した。

王外相は、両国関係にとって(1)両国首脳による合意内容の順守、(2)中国・米国の2国間関係の安定、(3)意思疎通ルートを滞りないよう維持、(4)意見の相違、対立、摩擦の管理・コントロール、(5)相互利益・協力の推進という「5つの必ずすべき」ことを実行できるかがカギとした。

その上で、中国・米国関係の安定と改善には、客観的に相手の戦略的意図を認識し、中国・米国の交流での競争要因に正しく向き合い、国家安全という概念をはっきりさせることが必要だと強調した(注4)。

王外相は27日にはジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)とも会談した。首脳会談の実現に向けた努力に合意したほか、王外相は「台湾独立」が台湾の平和と安定が直面する最大の脅威であり、中国・米国関係にとっての最大の課題でもあるとした。

10月30日付の「環球時報」は、首脳会談の実施は両国の利益となり、世界の期待にも沿うものとしながら、実現には中米双方の歩み寄りが必要で、特に米国が実際の政策や行動で示すべきだとした。

復旦大学国際問題研究院の趙明呉教授は、中米双方にとって「安定を第一とする」ことが両国関係処理に当たっての共通の目標になっていると評した(「中国経済週刊」10月29日)。

(注1)米国側の発表は2023年10月30日記事参照

(注2)2022年にインドネシアのバリ島で行われた習近平国家主席とバイデン大統領による首脳会談(2022年11月16日記事参照)と、2023年11月に米国サンフランシスコで開催されるAPEC首脳会議での首脳会談を意味するとみられる。

(注3)1972年、1978年、1982年に発表された中国と米国間の3つのコミュニケを指す。

(注4)パレスチナ・イスラエル衝突についても意見を交わし、王外相は、根本的な解決方法は「二国家解決」(イスラエルとともに共存共栄するパレスチナ国家を建設すること)を実現することだとした。

(河野円洋)

(中国、米国)

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