ADB、バングラデシュの2022/2023、2023/2024年度の経済成長率を6.0%、6.5%と予測

(バングラデシュ)

調査部アジア大洋州課

2023年10月02日

アジア開発銀行(ADB)は9月20日、「2023年アジア開発見通し 9月版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、バングラデシュの2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)のGDP成長率を、前回2023年4月の発表(2023年4月10日2023年4月20日記事参照)より0.7ポイント高い6.0%に上方修正し、2023/2024年の成長率は6.5%に据え置いた。

ADBによると、2022/2023年度のバングラデシュの成長率は、前回予測値(5.3%)より高いものの、投入資材価格の高騰およびエネルギー不足による産業成長の減速、洪水とサイクロンによる農業へのダメージ、また物価上昇、米国・欧州の景気減速や輸入規制に基づく内需と外需の低迷を受け、減速したという。

他方、2023/2024年度は、インフレの改善、内需の回復およびユーロ圏の景気回復による継続的な輸出拡大が下支えし、成長が維持されると予測。また、適度なインフレおよび海外就労者からの郷里送金の増加が、民間消費の回復にも寄与するとした。さらに、マタバリ深海港開発事業(2019年2月13日記事参照)や、2022年12月末に部分開業したダッカメトロ6号線など、政府が主導する多くの主要インフラプロジェクトが、国内投資を促進すると指摘しつつ、民間投資は、国の金融政策の枠組みの見直しによる金利上昇(注)によって、抑制される可能性があると述べた。

同国のインフレ率については、2022/2023年度の9.0%から、2023/2024年度には6.6%に低下すると予測している。その背景として、世界的な非燃料商品価格の下落、農業生産の増加、金融引き締め政策によるものと分析した。

またADBは、バングラデシュ経済にとっての潜在的なリスク要因として、悪天候や、世界的な需要が減少した際の輸出の伸びの縮小に伴う国際収支の悪化などを挙げた。

(注)バングラデシュ中央銀行は6月18日、これまで講じていたマネタリーターゲティング政策から、世界各国の中央銀行で多く用いられている金利ターゲティング政策(Interest Rate Targeting Framework)に移行する旨を発表。この変更には、政策金利の引き上げ、銀行およびノンバンク金融機関に対する貸出金利の調整などが含まれる(2023年8月4日付地域・分析レポート参照)。

(寺島かほる)

(バングラデシュ)

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