中国・EUがハイレベル対話、サプライチェーン安定や輸出管理のメカニズム構築を継続

(中国、EU)

北京発

2023年09月28日

中国の何立峰副首相(注1)と欧州委員会(EC)のバルディス・ドムブロウスキス上級副委員長兼貿易担当欧州委員は925日、北京市で第10回中国・EU経済貿易ハイレベル対話を開催した。

中国商務部は翌26日、記者の質問に答えるかたちで対話内容を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。双方は(1)マクロ経済、(2)貿易・投資、(3)産業チェーン・サプライチェーン、(4)金融協力の4分野について、実務的で率直な、成果に富む議論を行ったとした。

これにより、マクロ経済政策協調や、産業チェーン・サプライチェーン協力、ビジネス環境改善、WTO改革、金融業の双方向の開放と監督・管理に関する協力について、一連の成果と合意に達することができたとした。

商務部によると、双方は安定し相互に信頼できる産業チェーン・サプライチェーンの構築に同意したほか、「デカップリング」に反対するとした。

また、双方は中国・EU原材料サプライチェーン早期警戒メカニズム構築などについて、意思疎通を続けることや、輸出管理分野でも対話メカニズムを構築することに同意した。

政府調達について、中国はEUに対し、中国企業・外資系企業を問わず、中国内で生産した製品については平等に扱うとした。その上で、中国はWTOの「政府調達協定」早期加入への支援を求めた。

また、双方はEUによる国際調達措置(IPI)、海外補助金規則、炭素国境調整措置(CBAM)に関する見方を交換した(注2)。中国はEUに対し、貿易救済措置を慎重に使用することを希望するとともに、電気自動車(EV)をはじめとする新エネルギー分野で協力を深化し、中国・EUの正常な貿易取引と持続的発展に向け良好な環境を築くことを奨励するとした。

その他、中国は中国EU商会、EU企業の外資系企業円卓会議(注3)への参加を要請し、重要外資プロジェクトワーキンググループを通じて、EU企業の対中投資に対するサービスを保障するとした。

双方は知的財産権、化粧品、農産物・食品などについても意見を交換した。

中国社会科学院欧州研究所の趙晨研究員は、今回の対話の特徴として双方が真摯(しんし)な態度で実務的に問題解決にあたっていることや、協力範囲が気候変動対策だけでなく、経済・貿易、サプライチェーン、政府調達協定、金融、環境保護など幅広い分野に及んだことなどを挙げた(「直新聞」926日)。

(注1921日付の新華社報道では「中国・EU経済貿易ハイレベル対話中国側代表」との肩書が記されている。

(注2)国際調達措置(IPI)については2021年6月10日記事、海外補助金規則については2023年7月13日記事、炭素国境調整措置(CBAM)については2023年8月23日記事参照。なお、中国は、EUが中国製のEVについて中国政府の補助金を問題視し、相殺関税の付加を視野に調査を始めると発表したことについて、「強い懸念と強烈な不満」を表明している(2023年9月19日記事参照)。

(注3)中国は「外商投資環境のさらなる最適化と外商投資誘致の強化に関する意見」(2023年8月15日記事参照)で、外資系企業へのサービス向上のため、円卓会議制度を構築するとしている。

(河野円洋)

(中国、EU)

ビジネス短信 cff5794e79918b7a