2022年度の対日IT輸出は35%急増と成長目覚ましく、日系企業の新たな動きも

(バングラデシュ、日本)

ダッカ発

2023年06月16日

バングラデシュのソフトウエアおよび情報技術対応サービス(ITES)の対日輸出が目覚ましい。地場企業が日本に足場を築いたことが大きいという。

バングラデシュソフトウエア・情報サービス協会(BASIS)によると、日本へのIT輸出は、2016/2017年度(2016年7月~2017年6月)にはわずか5,600万ドルほどだったところ、2021/2022年度には前年度比35%も急増し、1億2,000万ドルを達成した。

現地報道で取り上げられた概要は次のとおり(「ザ・デイリー・スター」紙2023年5月8日)。

  • IT輸出総額14億ドルのうち、日本が占める割合は8%。
  • 日本は世界最大のIT市場の1つで、2021年の市場規模は約449億ドルと推定される(市場調査会社リサーチ・アンド・マーケッツ調べ)。
  • 2023年現在、103社が日本にITサービスを輸出しており、そのうち23社が直接輸出、80社が間接輸出を行っている。
  • バングラデシュのIT産業の強みとしては、IT分野の卒業生が増加していること、若年層が多いことに加え、価格が手頃で競争力があること、2国間の研修協力が得られることなど。
  • ローカルエンジニアの勤勉さ、(人材の)質の高さ、コミットメントが、日本市場開拓のビジネスチャンスに。
  • 一方で、障壁は言語および直行便がないこと。ITエンジニアの日本語能力が高いベトナムを見習い、日本語教育に力を入れる必要がある。また、両国の企業の進出促進には、ダッカから日本への直行便の就航が欠かせない。

両国間では、IT分野における連携の強化が進められている。2022年12月には、日本バングラデシュIT協会がダッカ市内で日系企業向け合同採用説明会を開催(2022年12月6日記事参照)。また、2023年2月23~26日に開催された、ソフトウエア・IT分野の展示会「BASISソフトエキスポ」では、国別で唯一となる日本にフォーカスしたジャパン・セッションが催された(2023年3月10日記事参照)。さらに4月27日、BASISと情報サービス産業協会(JISA)は、シェイク・ハシナ首相の訪日に合わせてジェトロなどが開催した「バングラデシュ貿易・投資サミット」において、両国の協力関係を強化するビジネスMoU(覚書)に調印した(2023年5月9日記事参照)。

2001年からバングラデシュでITのオフショア開発事業や、IT人材への日本語教育を手掛ける、当地IT業界大手のBJIT(2023年1月6日記事参照)は4月28日、戦略的パートナーとして新たに、丸紅と資本業務提携を行うと発表した。同社取締役副社長COOの明石康弘氏は「IT人材輩出力、技術力、英語力の3拍子がそろうバングラデシュは、グローバルマーケットにおいても高い可能性を秘めている。BJITグループは、丸紅との提携によって同社のグローバル・ネットワーク、マーケティング力を活用し、世界各国でのバングラデシュITオフショア開発の機会創出を世界規模で広げていく。日本市場においては、全国の地方都市を中心に人材不足に悩む多くの企業がいる中で、日本語や日本文化の教育を受けた高度IT人材の需要がますます高まっており、こうしたニーズにも引き続き応えていきたい」と話した(ジェトロ・ヒアリング6月8日)。

(山田和則、寺島かほる)

(バングラデシュ、日本)

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