英国が次期エネルギー価格上限の引き下げ発表、ロシアからは1年間、ガス輸入せず
(英国、ロシア)
ロンドン発
2023年05月29日
英国のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)は5月25日、2023年7から3カ月間のエネルギー価格上限(energy price cap)を発表した。標準的な家庭のガス・電気使用量の場合、年間の価格上限は、2023年2月に発表した現行(2023年4~6月)の3,280ポンド(約57万720円、1ポンド=約174円)から2,074ポンドへ引き下げとなった(2023年3月1日記事参照、添付資料図参照)。直近のエネルギー卸価格低下が反映された。現在は「エネルギー価格保証」(注)によって標準的な家庭の支払い額は年間2,500ポンドに制限されているため、実質的な上限額が約430ポンド引き下げられることになる。次回のエネルギー価格上限の改定は、2023年10月から12月分に適用される価格上限で、2023年8月25日に発表が予定されている。
英国調査会社のコーンウォール・インサイトは今後の価格上限について、次回(2023年10~12月期)を約1,960ポンド、次々回(2024年1~3月期)を約2,026ポンドと予想している。今回の引き下げは高止まりするエネルギー価格に苦しむ人々に安堵(あんど)感をもたらすとした一方、現時点では今後の大幅な減少は見込めないと分析している。
同じく5月25日、英国のエネルギー安全保障・ネットゼロ省は、2022年4月から2023年3月にかけて英国がロシアから液化天然ガス(LNG)を輸入しなかったことを発表した(添付資料表参照)。英国政府は2022年4月に発表したエネルギー安全保障戦略で、ロシアからのエネルギー輸入について、石油と石炭は2022年末までに、その後できるだけ早く、LNGの輸入を停止することを目標に掲げていた(2022年4月13日記事参照)。
(注)7月以降の「エネルギー価格保証」の水準は、年間3,000ポンドに引き上げられ、2024年3月まで適用となる予定(2023年3月16日記事参照)。
(菅野真)
(英国、ロシア)
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