ドイツ自動車産業連合会、2023年の低排出ガス車市場の見通しを発表

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年03月01日

ドイツ自動車産業連合会(VDA)は2月6日、2023年の低排出ガス乗用車〔バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)〕のドイツ国内での販売台数見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。具体的には、2023年の低排出ガス乗用車販売台数を76万5,000台(前年比8%減)、国内乗用車新規登録台数全体に占める低排出ガス乗用車の割合を28%(前年比3ポイント減)と予測した。

VDAは、BEVの2023年の販売台数は約51万台(前年比8%増)に増加するものの、PHEVの販売台数は約25万5,000台(30%減)に減少すると予測。VDAのヒルデガルト・ミュラー会長は、PHEVの販売台数の減少傾向の要因として、2023年1月からの新車購入時の補助金「環境ボーナス(Umweltbonus)」制度の変更を挙げた。

すなわち、2022年末まではPHEVへの補助金は、(1)車体価格が4万ユーロ以下の場合は総額6,750ユーロ(連邦政府支給分4,500ユーロに自動車メーカー負担分2,250ユーロを加算)、(2)車体価格が4万ユーロ超6万5,000ユーロ以下の場合は総額5,625ユーロ(連邦政府支給分3,750ユーロに自動車メーカー負担分1,875ユーロを加算)だった。しかし、2023年1月からはPHEVに対する補助金は一律廃止された。

BEVと燃料電池車(FCEV)に対する補助金は、2023年1月から、前述(1)の場合は総額6,750ユーロ(連邦政府支給分6,000ユーロが4,500ユーロに減額されたことに伴い自動車メーカー負担分も3,000ユーロから2,250ユーロに減額)、前述(2)の場合は総額4,500ユーロ(連邦政府支給分5,000ユーロが3,000ユーロに減額されたことに伴い自動車メーカー負担分も2,500ユーロから1,500ユーロに減額)になった(2022年12月12日記事参照)。減額分はそれぞれ2,250ユーロ、3,000ユーロと大幅に減少した。

また、ミュラー会長は、充電インフラ拡大加速の重要性を強調した。VDAによると、ドイツ国内の公共充電器1基当たりの電気自動車台数は23台となっている。連邦政府が掲げた「2030年までに公共充電器100万基設置」の目標(2022年11月1日記事参照)を達成するため、充電インフラ拡大速度を現状比5倍にする必要があるとした。

1月の国内乗用車新規登録台数、低排出ガス車が減少

ドイツ連邦自動車局(KBA)は2月3日、1月のドイツ国内乗用車新規登録台数を17万9,247台(前年同月比2.6%減)と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。燃料別にみると、BEVは1万8,136台(13.2%減)、PHEVは8,853台(53.2%減)だった。乗用車新規登録台数全体に占める割合はBEVが10.1%、PHEVが4.9%となった。ディーゼル車の新規登録台数は3万9,230台(1.2%減)となり、全体の21.9%を占めた。他方、ガソリン車の新規登録台数が伸びをみせ、6万9,922台(3.5%増)に増加した。また、ガソリン車のシェアが39.0%で最大となった。

(クラウディア・フェンデル、宮林和夢)

(ドイツ)

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