9月の製造業PMI、3カ月ぶりに拡大、50を上回る

(中国)

中国北アジア課

2022年10月11日

中国の国家統計局と物流購買連合会が9月30日に発表した同月の製造業購買担当者指数(PMI)は、前月よりも0.7ポイント上昇の50.1と、3カ月ぶりに50の境界線を上回った(添付資料図1参照)。上海市で新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大を受けて、3月末から約2カ月間続いた封鎖管理が解除されたことなどもあり、6月に50.2と改善を見せたが(2022年7月1日記事参照)、その後2カ月連続で50を下回っていた。

9月の非製造業のビジネス活動指数も50.6と境界線を上回った。ただし、6月の54.7から3カ月連続で低下した。海南省や四川省などで8~9月に局地的な新型コロナ感染拡大とそれに伴う防疫措置の強化が見られたことなどが回答者マインドに影響を及ぼしたとみられる。

国家統計局サービス業調査中心の趙慶河高級統計師は同日、9月の製造業PMIが境界線を上回ったことと、非製造業のビジネス活動指数、総合PMIがともに4カ月連続で境界線を上回ったことを指摘しつつ、「中国経済は総じて回復が続いている」との見解を示した。

製造業PMIを構成する指数では、生産が8月より0.7ポイント上昇の51.5、新規受注が0.6ポイント上昇の49.8などと改善した。生産が50を上回ったのは6月(52.8)以来。また、製造業PMI関連指数では、新規輸出受注が47.0、輸入が48.1と、それぞれ境界線を下回ったままだ。

企業規模別でみたPMIは、大型企業51.1、中型企業49.7、小型企業48.3で、大型企業は2カ月連続で境界線を越えた(添付資料図2参照)。中型企業は8月より0.8ポイント上昇したが、2022年7月以降50を下回っている。小型企業も8月より0.7ポイント上昇したものの、2021年5月以降一貫して50を下回っている。

中国国務院は8月24日に開催した国務院常務会議で、5月に発表した経済安定化のためのパッケージに続く政策措置を打ち出し、景気浮揚に向け各種取り組みを展開している(2022年9月9日記事参照)。ただし、政府が定めた2022年の経済成長率目標(5.5%前後)の達成は容易ではない。世界銀行が9月26日に発表した予測では、中国の2022年の成長率を2.8%、2023年を4.5%と見通している。世界銀行は新型コロナ集団感染を封じ込めるために対象を絞り込んだ公衆衛生措置が経済活動を妨げていると指摘した。OECDが9月26日に発表した予測では、中国の2022年の経済成長率を3.2%、2023年を4.7%としている。OECDは、中国の不動産市場で進行中の調整が高水準の企業債務と「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」政策(注)の継続と相まって、予想よりも深刻な減速を引き起こす可能性があるとの懸念を示した。

(注)中国政府や防疫対応に携わる専門家の説明によると、「ダイナミックゼロコロナ」政策とは、国内の「感染者の発生をゼロにする」ものではなく、感染者の能動的かつ迅速な発見を行い、感染者に対して速やかに疫学的調査、診断、隔離、治療を行い、コミュニティー(社区)内で持続的に感染が広がることを防ぐ防疫戦略を指す。

(宗金建志)

(中国)

ビジネス短信 0fa3d90945c8f515