中国防疫当局が10月31日までの防疫措置を発表、ダイナミックゼロコロナ政策を堅持

(中国)

北京発

2022年09月12日

中国・国務院共同防疫メカニズムは9月8日、記者会見を開催し、中秋節(9月10~12日)と国慶節(10月1~7日)の休暇前後の防疫対応について説明した。

会見において、国家衛生健康委員会の当局者は、全国29の省・直轄市・自治区において新規国内感染者が確認されており、一部においてはコミュニティー(社区)における感染拡大や外部への感染波及が遮断できておらず、感染拡大の防止抑制は深刻で複雑となっているとの認識を示した。その上で、中秋節および国慶節の休暇前後に国内における大規模な感染拡大の発生を防ぎ、かつ、生産や生活への影響を最大限抑制するため、「外防輸入、内防反弾(国外からのウイルスの流入を防ぎ、国内において感染の再拡大を防ぐ)」という全体戦略と「ダイナミックゼロコロナ」(注1)という全体方針を揺らぐことなく堅持し、「新型コロナウイルス肺炎感染対策方案」(第9版、2022年6月29日記事参照)の実施を徹底するという前提の下で、9月10日から10月31日まで合理化された防疫措置を取ると発表した。措置の概要は以下のとおりとなっている。

  • 国慶節休暇中は地元で過ごし、都市をまたぐ移動を可能な限り減らすよう要請。
  • 航空機、高速鉄道、列車、省をまたぐ長距離旅客バスや旅客船などの交通手段を利用する場合、48時間以内のPCR検査陰性証明の提示を求める。
  • 自主的、無料、検査終了後の移動制限を行わないという原則の下で、省をまたいで移動する人に目的地到着後、現地でPCR検査を受けるよう求める。
  • ホテルなどへの宿泊や観光地への入場に際しては健康コードおよび72時間以内のPCR検査陰性証明の提示を求める。
  • 研修、展示会、文化公演など大規模な集会はなるべく開催せず、開催する場合は参加者に48時間以内のPCR検査陰性証明の提示や健康コードスキャンを求める。

また、国家衛生委員会の当局者は、なるべく最短の時間、最小のコストで新型コロナウイルス感染拡大を抑制できるよう努力するとして、「9つの禁止事項」(注2)に違反し、恣意(しい)的に規制を追加するケースについては専門チームを設けて対応し、典型的なケースは国務院共同防疫メカニズムが公表するとした。

(注1)中国政府当局や中国の防疫対応に携わる専門家の説明によると、「ダイナミックゼロコロナ」とは国内の「感染者の発生をゼロにする」ものではなく、感染者の能動的かつ迅速な発見を行い、感染者に対して速やかに疫学的調査、診断、隔離、治療を行い、コミュニティー(社区)内で持続的に感染が広がることを防ぐ防疫戦略を指す。

(注2)外出制限の対象エリアを恣意的に拡大することや、隔離や封鎖管理措置の対象となる人員の範囲を恣意的に拡大することの禁止などが含まれる(2022年6月6日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国)

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